2006 Fiscal Year Annual Research Report
セリンラセマーゼ・ノックアウトマウスの作出とD-セリンの神経系における機能の解明
Project/Area Number |
17500258
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
金野 柳一 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (30129043)
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Keywords | セリンラセマーゼ / ノックアウトマウス / D-セリン / NMDA受容体 / 統合失調症 / モデルマウス |
Research Abstract |
ヒトや動物の脳には非天然型のD-セリンが多量に存在している。このD-セリンはN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のコ・アゴニストとして神経伝達を増強すると考えられている。D-セリンはセリンラセマーゼによりL-セリンから合成されると考えられているが、この酵素の働きについてはよくわかっていない。そこでセリンラセマーゼのノックアウトマウスを作出し、この酵素の欠損がどのような作用を及ぼすかを解析する。 昨年度、ノックアウトマウス作出の過程でジャームライン・トランスミッションがうまく起こらなかったので、再び遺伝子破壊用のベクターをES細胞に導入し、相同組み換えを起こしているヘテロ接合体クローンを新たに6株得た。それらについて核型分析を行い、正常な核型をもっていることを確認した。この6株のESクローンをC57BL/6Jマウスの胚盤胞初期胚へマイクロインジェクションし、それをマウスの子宮に移植した。その結果、1株のESクローンについてオス3匹のキメラマウスが誕生した。これらのマウスは毛色から判断してかなりの組織がES細胞由来と思われた。そこでこのオスのキメラマウスと野生型C57BL/6Jのメスのマウスを交配させたところ、50匹のマウスが産まれた。ジェノタイピングを行ったところ、野生型のオス10匹、メス11匹に対しヘテロ変異体がオス11匹、メス18匹いることがわかった。現在、このF1ヘテロマウスの雌雄の交配によって、F2マウスが産まれたところである。それらのジェノタイピングを行い、セリンラセマーゼ遺伝子を欠損したホモマウスについて脳におけるD-セリンの量、発生・生育過程、そして行動等を調べるとともに、C57BL/6Jマウスにバッククロスを継続的に行い、C57BL/6Jの遺伝的背景にセリンラセマーゼ欠損遺伝子を導入したセリンラセマーゼ・ノックアウトマウスの系統を樹立する予定である。
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