2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500270
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齋藤 康彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70290913)
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Keywords | 前庭神経核 / 前庭代償 / 可塑性 / 膜特性 / 活動電位 / パッチクランプ / スライス / ラット |
Research Abstract |
前庭代償前後において神経活動が変化するニューロンを明らかにするため、前庭神経核ニューロンの自発発火様式に着目し、本年度は、健常動物において、自発発火の規則性と膜特性との関係について調べた。生後約3週齢のラットからスライス標本を作製し、ホールセルパッチクランプ法により記録を行った。前庭神経核ニューロンの膜特性の一つであるスパイク後過分極(AHP)は、一相性のAHP[AHP(s-)]と二相性のAHPに分類され、さらに、二相性のAHPは時間的に速い成分と遅い成分との間に一過性の脱分極が見られるもの[AHP(s+)with ADP]とみられないもの[AHP(s+)]に分けられる。これらの3種類のAHPのうち、AHP(s+)を示すニューロンの発火パターンは規則的であったのに対し、AHP(s-)またはAHP(s+)with ADPを示すニューロンの発火パターンは不規則であった。AHP(s+)を示すニューロンに、カルシウム依存的カリウムチャネル(Kca)のブロッカーであるアパミンを投与したところ、遅い成分が消失し、発火パターンが不規則になった。このことから、Kcaの活性化によって生じる遅い成分の出現が発火パターンの規則性に重要であることが示唆された。以上のような自発発火の規則性とAHPとの関係がin vivoにおいてもみられるのかを調べるため、ラットのin vivo標本において、ホールセルパッチクランプ法による記録を試みた。その結果、前庭神経核ニューロンからのin vivoホールセル記録に世界で初めて成功し、上記の関係がin vivoにおいても適用されることが明らかになった。来年度は、この成果をもとに、一側末梢前庭器官を破壊したモデル動物において、in vitro、in vivo両方向から研究を行い、前庭代償後にどのニューロンの自発発火パターンに変化が生じるのかを明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)