2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脊髄後角ニューロンにおける痛み伝達に及ぼすホスホリパーゼA_2活性化の効果
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17500275
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
熊本 栄一 佐賀大学, 医学部, 教授 (60136603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 亜美 佐賀大学, 医学部, 助手 (70336139)
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Keywords | inhibitory transmission / phospholipase A_2 / lipoxygenase / nociception / rat / spinal dorsal horn / substantia gelatinosa / patch-clamp |
Research Abstract |
研究の目的は、脊髄後角の痛み伝達制御におけるホスホリパーゼA_2(PLA_2)の役割をシナプスレベルで明らかにすることである。今年度は、皮膚末梢から脊髄に入力する痛み情報の制御に重要な役割を果たす脊髄後角第II層(膠様質)における抑制性のシナプス伝達に対して、PLA_2を活性化するメリチンがどんな作用を及ぼすかを調べた。実験は、成熟雄性ラットから脊髄横断スライス標本を作製し、膠様質ニューロンに通常のブラインド・ホールセル・パッチクランプ法を適用することにより行った。メリチンの灌流投与によりGABA作動性自発性抑制性シナプス後電流(sIPSC)の振幅と発生頻度が著明に増加した。グリシン作動性sIPSCも同様な促進を示した。メリチン作用に及ぼすtetrodotoxinやグルタミン酸受容体阻害剤の効果を調べた所、グリシン作動性sIPSCの促進は影響を受けなかったが、GABA作動性sIPSCの促進は抑制された。一方、グリシン作動性sIPSCに対するメリチン作用はPLA_2阻害剤の前投与により抑制されたのでPLA_2活性化を介するものであることがわかる。グリシン作動性sIPSCに対するメリチン作用はcyclooxygenase阻害剤により影響を受けなかったが、lipoxygenase阻害剤により抑制された。以上より、メリチンによるグリシン作動性sIPSCの促進はPLA_2活性化に引き続いて起こるlipoxygenase活性化の代謝物を介することがわかる。一方、GABA作動性sIPSCに対するメリチン作用は興奮性シナプス伝達の促進により、あるニューロンで活動電位が発生し、その結果、そのニューロンから放出された神経修飾物質の働きによるといえる。このようなPLA_2活性化による抑制性シナプス伝達の促進は痛み伝達の抑制に寄与することが示唆される。
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Research Products
(6 results)