2006 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸リズム生成の場であるベッツィンガー領域の統一的理解
Project/Area Number |
17500282
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
江連 和久 埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (20132904)
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Keywords | 呼吸リズム / 吸収性ニューロン / 結合腕傍核 / 橋 / オフスイッチ機構 / 肺伸展受容器 / 舌下神経核 |
Research Abstract |
呼吸リズム生成・調節の中核は延髄にある。一方で、橋への刺激や破壊等の実験操作が呼吸活動を大きく修飾することは古くから知られており、その意味で呼吸の中枢は延髄から橋にかけて存在するともいえる。しかし橋と延髄の相互作用のメカニズム、そのニューロン機構はほとんどわかっていない。今回はラットを用いたin vivo実験で、橋の呼吸関連ニューロンについて、その発火、分布、軸索投射について、延髄との関連で解析した。 1)結合腕傍核とKolliker-Fuse(KF)核を中心に分布する橋の呼吸性ニューロン群は様々な発火パターンを示した。特記すべきことは、ほとんどのニューロンが発火と非発火が明白に切り替わるphasicなリズムを示し、定説であったtonicな発火が変調を受けるパターンではなかった。このことは橋の呼吸性リズムの成因を考える上での重要なポイントである。 2)基本的に6種の発火パターンに分類できることがわかった。最も多く記録できたのは吸息性ニューロンと呼息-吸息ニューロンで、KF核を中心に分布していた。 3)逆行性電気刺激によるマッピングで、橋の呼吸性ニューロンの大多数が延髄に軸索投射することが判明した。ベッツィンガー領域や腹側呼吸ニューロン群領域への投射は延髄の呼吸リズム生成系への影響を示し、孤束核への投射は肺伸展受容器中継ニューロンへの影響を示するものである。 4)舌下神経核への投射が明らかになった。状況証拠から興奮性の投射である。つまり橋の呼息-吸息ニューロンが舌下神経運動ニューロンを呼吸性に制御していることが判明したが、この意味を調べる研究は、橋の呼吸性ニューロンの役割を解明する上で大きなステップとなることが予想される。
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Research Products
(2 results)