2007 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸リズム生成の場であるベッツィンガー領域の統一的理解
Project/Area Number |
17500282
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
江連 和久 Saitama Medical University, 保健医療学部, 教授 (20132904)
|
Keywords | 延髄 / 橋 / 相互作用 / 呼吸中枢 / 呼吸調節 |
Research Abstract |
呼吸リズム生成・調節の中核は延髄にある。一方で、橋への刺激や破壊等の実験操作が呼吸活動を大きく修飾することは古くから知られており、その意味で呼吸の中枢は延髄から橋にかけて存在するともいえる。しかし橋と延髄の相互作用のメカニズム、そのニューロン機構はほとんどわかっていない。今回はラットを用いた実験で、橋の呼吸関連ニューロンを延髄、特にベッツィンガー領域、との関連で解析した。1)結合腕傍核とKolliker-Fuse(KF)核を中心に分布する橋の呼吸性ニューロン群は様々な発火パターンを示したが、基本的に6種の発火パターンに分類できる。2)それら呼吸性ニューロンについて逆行性電気刺激によるマッピングで延髄への軸索投射を調べると、6種類すべてが、またテストした60%以上が延髄に投射することが判明した。逆行性電気刺激の検出効率を考えると、ほとんどの橋の呼吸性ニューロンが延髄に軸索を送っていると考えてよい。投射領域はa)ベッッィンガー領域や腹側呼吸ニューロン群の領域と、b)孤束核を含む背側呼吸ニューロン群の領域であった。ベッツィンガー領域の代表的呼息性ニューロンが橋の呼吸性ニューロンの領域に投射していることを考慮すると、a)の投射は延髄と橋の相互作用が呼吸リズム生成系に組み込まれていることを示唆する。孤束核の肺伸展受容器の中継ニューロンが橋に投射していることを考慮すると、b)の孤束核への投射は橋と延髄の相互作用が呼吸リズムの修飾にも重要であることを示唆している。またb)の投射の標的に舌下神経核が含まれていたが、これは橋のニューロンが直接的に舌下神経運動ニューロンの活動も調節していることを示唆する。
|
Research Products
(1 results)