2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト型好酸球増多症コンジェニックラットの発症メカニズムと遺伝子解析
Project/Area Number |
17500285
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松本 清司 信州大学, ヒト環境科学研究支援センター, 助教授 (40173893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 政之 信州大学, 医学部, 助教授 (60273190)
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Keywords | 遺伝子 / 好酸球 / 好酸球増多症 / 好酸球性肉芽腫 / 好酸球性炎症 |
Research Abstract |
スピードコンジェニック法を用いてMES(好酸球増多症)の原因遺伝子をBN(Brown Norway)ラットに置き換えたコンジェニックラット(BN.MES-Eos1)を作製した。このBN.MES-Eos1とMESラットを交配して得られた子動物を更に兄妹交配してF2動物を得た。この子動物の表現系を血液病理学的に解析した。この遺伝子を導入したコンジェニックラット(BN.MES-eos1)を病理組織学的に検索すると、肝臓で特異的に好酸球浸潤を伴う巣状壊死を呈し、肉眼的に白色点状巣として認められることが分かった。この白色点状巣を指標として血液学的検査値との相関性を調べたところ、次の諸点が明らかになった。 F2動物の末梢血中好酸球数は80〜1800/μlで正常値から10倍程度の範囲でバラツキが見られ一定の傾向は見られなかった。2)病理組織学的に検査したところ、肝の白色点状巣は79/134匹(59%)で認められた。この内、中等度以上に判定された47匹のほとんどで骨髄好酸球比率が20%以上を示した。このことは肝病変と骨髄好酸球の異常増殖に何らかの関連性を示唆すると考えられた。 他方、骨髄において好酸球が異常増殖(20%以上)しているにもかかわらず末梢好酸球数が500/μL未満を示す動物が37匹(88匹中)存在した。この骨髄好酸球の増殖が末梢好酸球数に反映しない所見はBN.MES-eos1と類似するものであった。 以上、骨髄中で好酸球が明らかに増殖しているにもかかわらず、末梢血中の好酸球数が増加しない背景には何らかのBNラット由来の増加抑制遺伝子が関与している可能性が示唆された。また、骨髄好酸球の増殖は、肝臓の白色点状巣の発症とパラレルであったことから、この両者にも何らかの関係があるものと思われるので、引き続きこれらの機序について検討する計画である。
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Research Products
(2 results)