2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルスエンベロープ蛋白質による中空ナノ粒子構造形成の分子機構
Project/Area Number |
17500306
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
多田 宏子 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60271061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 秀徳 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80037613)
妹尾 昌治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90243493)
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Keywords | ナノバイオ / ナノ粒子 / ウィルス粒子 / エンベロープタンパク質 / リポソーム / タンパク質工学 / タンパク質集合体 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
ヒトB型肝炎ウィルス(HBV)のエンベロープ蛋白質(HBsAg)のみを動物細胞や酵母で発現させると、宿主細胞の小胞体由来脂質二重膜を取り込みながら自己凝集することにより、直径50〜500nmのウィルス様中空粒子(HBsAg粒子)を形成する。本研究は、このHBsAg蛋白質による中空ナノ粒子構造形成の分子機構の解明を目的とする。そのために、平成17年度にはHBsAg蛋白質中で粒子形成に必要な領域の特定に取り組み、全長226残基のHBsAg蛋白質のうちC末端疎水性領域71残基中の54残基が粒子形成に不要である事を解明した。 平成18年度は、 (1)さらに粒子外部親水性領域(57残基)と粒子内部親水性領域(50残基)について欠失可能領域を特定した。その結果、C末端54残基に加えて粒子外部領域50残基あるいは粒子内部領域44残基を欠失させて2残基リンカー配列(PD)で置き換えた変異体でも非欠失体の50%以上の粒子分泌を示した事から、粒子内外の親水性領域のほとんどが粒子形成には不必要である事か明らかとなった。 (2)欠失実験の結果、C末端疎水性領域のN末端側に18残基の必要配列が特定された。そこで、この必要配列に種々のアミノ酸置を導入したC末端54残基欠失変異体を作製して粒子分泌能を調べた。その結果、この必要配列の持つ(1)両親媒性helix構造をとりうる、(2)膜界面指向性の強いtrp残基を多く含む、という特徴を失わせる変異を導入すると、徐々に粒子分泌量が減少した事から、この必要領域が膜表在型helixを取る事が重要と示唆された。この安定な膜表在型helix領域が、HBsAg蛋白質が粒子構造(中空球構造)を形成するために必要な自己凝集能と曲率を生み出しているものと考えられる。
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Research Products
(3 results)