2005 Fiscal Year Annual Research Report
転写促進機能を持つ生体適合性遺伝子デリバリーシステム
Project/Area Number |
17500315
|
Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
小山 義之 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (00162090)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 直子 大妻女子大学, 家政学部, 助教授 (40184353)
山下 美沙 大妻女子大学, 家政学部, 助手
|
Keywords | 遺伝子治療 / 転写 / 三元複合体 / 両イオン性高分子 |
Research Abstract |
メルカプトプロピオン酸およびアミノエタンチオール塩酸塩を様々な割合で溶解した混合溶液に、アリルグリシジルエーテルとエチレンオキシドとの共重合体を加えて反応させることにより、種々の割合でアミノ基とカルボキシル基の側鎖を両性イオン型PEG誘導体、PEG-ACを合成した。アミノエタンチオールが過剰のときは反応が阻害されたが、この場合には予めアミノエタンチオール塩酸塩を反応させておき、中和後にメルカプトプロピオン酸を付加させることによって目的の生成物を得た。また、スペルミンとヒアルロン酸を水中でカップリングさせ、スペルミン側鎖を持つ両イオン型ヒアルロン酸誘導体、Spn-HAを合成した。プラスミドとポリカチオンとの複合体にこれらの両イオン型ポリマーを加えたところ、ゼータ電位がわずかにマイナスの安定な三元複合体が得られた。 AmNS-UTPと大腸菌由来のポリメラーゼを用いた無細胞系における転写反応により、これらの三元複合体の被転写速度を評価したところ、いずれの場合もプラスミド/ポリカチオン二元複合体に比べ、非常に大きな被転写速度を示した。さらに、マウスの肝細胞からクロマチンを単離し、PEG-ACまたはSpn-HAを加えた場合にも、同じように高い転写活性化挙動が観察され、これらの両イオン型ポリマーが人工転写活性化補因子として働くことが示された。 両イオン型ポリマーでコートした三元複合体と生体成分との相互作用を調べるために、蛍光標識した三元複合体をマウスの腹腔に投与したところ、30分後には三元複合体は腹腔内に一様に広がり、これらの高い生体適合性が認められた。また、B16細胞をマウス腹腔に播種し、ルシフェラーゼ遺伝子をコードした三元複合体を腹腔内投与してその発現効率を評価したところ、腫瘍細胞においてレポーター遺伝子の高い発現が確認された。
|