2006 Fiscal Year Annual Research Report
早期肝細胞癌の低音圧超音波映像法と血管新生因子による生物学的悪性度の解析
Project/Area Number |
17500336
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
飯島 尋子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (80289066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森安 史典 東京医科大学, 医学部, 教授 (80191055)
宮原 健夫 東京医科大学, 医学部, 講師 (10333056)
池田 直人 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (00425125)
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Keywords | 超音波医科学 / 検査診断システム / 肝臓病学 / 画像診断学 |
Research Abstract |
肝細胞癌においては、分化度が低下するにしたがい血管新生が盛んになることはよく知られる。血管新生因子が予後に関わることは、血管造影との所見やMRI所見ともある程度一致することが報告されている。本研究テーマでは、新しく開発された微小気泡超音波造影剤を用いて肝微小循環を可視化する方法を開発しその臨床応用の可能性について研究した。超音波造影剤は2μmの微小気泡からなる。欧米ではすでに臨床に使われている。その特徴は、脂質やアルブミンをshellとし、水に難溶性のガスを容れたもので、そのshellの弾性のために、低音圧の超音波を受けて共振し、非線形信号(ハーモニック信号)を発する。3-4MHzの比較的高い周波数で気泡からのハーモニック信号を映像化すると、肝臓の動門脈から、類洞あるいは類洞様構造を経て肝静脈に至る微小循環をリアルタイムで観察することができる。 【肝微小循環の可視化】超音波画像を構成するピクセル毎の信号をmaximum holdingすると、Micro fLow imaging(MFI)と呼ばれるような、微小循環を可視化できる画像が得られることを共同研究者とともに開発した。これにより、正常肝から肝硬変、肝癌の組織内の微細な血管構造の変化を画像化し評価出来ることが解った。また、低音圧で共振し信号を持続的に発するが、高音圧送信下では容易に崩壊消失する。この高音圧超音波でスキャンボリューム内の気泡を一瞬で崩壊せしめ、新たな気泡がその中に血流に乗って再潅流する様子を映像化する方法はflash replenishment imaging (FRI)と呼ぶ。FRIを用いて、時間濃度曲線(TIC)を求め、このTICから、類洞を流れる実質血流を定量的に測定することが可能となった。これらは臨床的に、肝細胞癌の分化度診断に応用でき微小血管イメージにより分化度が推定できる。また、血管新生因子阻害剤などの治療効果判定などへの応用が期待される。さらに今後は、手術症例との対比検討により血管新生因子の発現とMFIの対比検討により血管新生による分子生物学的知見を得、分子標的治療への応用を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)