2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500350
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山口 昌樹 富山大学, 工学部, 助教授 (50272638)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 一則 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (90261768)
高井 規安 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (90163154)
|
Keywords | バイオマーカー / センサ / 交感神経 / 唾液 / 重症心身障害児 / 情動 / ストレス / 計測 |
Research Abstract |
重症心身障害児は,快適や不快の情動を他者へ的確に伝えることができない。その上,重症心身障害児の生命維持には,気管カニューレや胃チューブの交換といった治療行為が必要であり,それには極度の肉体的な苦痛を伴っていると想像される。本研究では,交感神経活性の指標として有望視されているバイオマーカー,すなわち唾液アミラーゼを用いた重症心身障害児のための新しいノンバーバルコミュニケーション手段を提案した。 試作した携帯式唾液アミラーゼ活性モニタ(126×130×48mm,350g)を用いて,重症心身障害児の肉体的,精神的苦痛を,交感神経活性からを定量的に評価した。本研究は,筑波大学倫理委員会の承認を得て行った。日常的な胃チューブの交換,もしくは気管カニューレが必要な重症心身障害児10名を被検者とし,治療行為前後の唾液アミラーゼ活性と心拍数を同時に測定した。 その結果,治療行為によって唾液アミラーゼ活性が有意に増加し,その増加率は平均で70%に達することが観察された。唾液アミラーゼ活性は,心拍数よりも増加率が2倍以上大きく,今日分散構造分析(SEM)による解析でも痛みとの相関が高かった。本研究によって,従来にない全く新しい重症心身障害児のためのノンバーバルコミュニケーション手段実現の可能性が示唆された。 本研究の成果は,インパクトファクター付きの英文論文2編で報告するとともに,唾液アミラーゼ活性の分析方法に関して国内特許出願を行った。これらの成果は,重症心身障害児の機能回復や体の変形の予防だけでなく,生活の質(QOL)の向上や家族とのインフォームドコンセントへも反映できると期待された。
|
Research Products
(4 results)