2005 Fiscal Year Annual Research Report
自発的言語教示を用いた半側空間無視のリハビリテーション技法の開発
Project/Area Number |
17500357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
関 啓子 神戸大学, 医学部, 教授 (90154640)
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Keywords | 半側空間無視 / 言語的教示 / 病識 / リハビリテーション |
Research Abstract |
右半球損傷に起因する左半側空間無視は,転倒の主な原因であり日常生活への影響が非常に大きいが,その有効なリハビリテーション技法は未だ確立されていない。本研究は,低下した右半球機能を健全な左半球機能で代償するリハビリテーション技法の開発を目的としている。これは,右半球損傷者には困難とされる視空間性課題の遂行過程に言語化という作業を加えることにより課題遂行を促進する技法である。 言語的教示の有効性自体は我々の先行研究から立証済みであるが,その実施方法は患者自身による自発的自己教示の難しさという大きな難点がある。半側空間無視患者は自分の状態を言語的に表現はするものの,それは皮相的で的確な行動に結びつけることが困難であるが、その原因として病識低下が考えられる。病識がなければ当然リハビリテーションへの意欲はわかず,症状の改善は期待できない。 そこで,平成17年度は半側空間無視患者の病識低下に影響する要因について検討した。半盲は半側空間無視に合併することが多い神経学的症状である。我々はすでに,様々な割合で赤と青に着色した線分を用いた線分二等分試験を実施し、半盲との関係からその結果を報告した(Misonou et al.,2004)。興味深いことに,主観的線分二等分点の右方偏位量が同程度であったにもかかわらず,左同名半盲の有無によって左端の色の認知の成績には有意な差があり,半盲が無視患者の意識化しない情報処理に影響を与えている可能性が示唆された。今年度はこの結果を踏まえて,左同名半盲を合併した半側空間無視患者に見え方について様々なレベルでの応答様式が可能な質問をし,病識との関係から結果を分析する課題を試みた。この研究から得られた知見をまとめ,現在一流国際誌に投稿中である。
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