2007 Fiscal Year Annual Research Report
自発的言語教示を用いた半側空間無視のリハビリテーション技法の開発
Project/Area Number |
17500357
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
関 啓子 Kobe University, 医学部, 教授 (90154640)
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Keywords | 半側空間無視 / リハビリテーション / 病識 / 言語的教示 / 自発的 / 右半球損傷 / 代償 |
Research Abstract |
本研究は右半球損傷者には困難とされる視空間性課題の遂行過程に言語化という作業を加えて課題遂行を促進する代償的技法の開発を目的としている。言語的教示の有効性自体は我々の先行研究から立証済みであるが,患者自身による自発的自己教示の乏しさという大きな障害がある。我々はその背景に病識の不足があると考え,平成17年度は左半側空間無視患者を対象に左同名半盲の有無と病識の関係について検討した。 平成18年度は健常高齢者を対象に言語機能を用いた課題を実施し,視空間性課題を実施し,課題解決の過程において言語を用いることがあるか否か,あるとすればどのような課題でよく観察されるかについて検討を行った。健常者は課題遂行の過程において意識化せずに言語を利用して行動制御していることがある。そこで,パソコンの画面上にて視空間性課題を行い,その過程で頻回に言語が用いられた課題を探求し,その特徴を検討することにした。予想に反して,健常高齢者が視空間性課題の解決に言語を利用する場面はそれほど多くはなく,特徴分析は難航したが,年度後半から視空間性課題に言語的要素を加えた課題を作成した新たな実験を開始した。 平成19年度は作成した課題を健常高齢者に実施し,純粋な視空間性課題として解決する場合をベースラインとし,言語を利用して課題解決を求めた場合に成績が向上するかを確認した。同時に,半側空間無視患者にも同様の方法で課題を実施し,言語を利用することによって成績が向上することを実感して自発的に利用することができるかを確認した。健常高齢者では,純粋な視空間性課題として課題遂行する場合に比して言語を利用した場合に有意な成績上昇がみられた(P<0.0001)。一方半側空間無視患者では成績改善はみられず,視空間性課題に対して構築された視空間的構えを崩して保存された言語機能を柔軟に利用することが極めて困難であることが示された。
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Research Products
(1 results)