2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛モデルにおける自己骨髄細胞移植の及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
17500360
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 義広 広島大学, 病院, 理学療法士 (60397958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 浩彰 広島大学, 病院・講師 (60363074)
堤 恵理子 広島大学, 大学院・保健学研究科, 助手 (40304422)
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Keywords | リハビリテーション / 移植 / 再生医療 / 神経科学 |
Research Abstract |
研究の目的 複合性局所疼痛症候群(以下CRPS)は持続性疼痛,疼痛過敏,浮腫,皮膚血流変化,発汗異常を主症状とする難治性疼痛性疾患であるが,治療法は確立していない。その背景にはCRPSの病態,なかでも下降抑制系の疼痛抑制機序,末梢における疼痛伝達系の機序との関連性が十分に解明されていないことが挙げられている。慢性閉塞性動脈硬化症に対する骨髄移植は既に臨床で実用化され,著明な疼痛改善効果を認めている。しかし複合性局所疼痛症候群に対する骨髄移植の報告はない。そこで神経因性疼痛モデルに対して骨髄移植を実施し,その影響の解析を試みた。 本年度の研究 先ずSprague-Dawley系ラット(SDラット)の骨髄採取を試みたが、穿刺では十分な自己骨髄量が採取困難であった。そこで骨髄移植自体の影響を解析することを目的にWister系Lewisラットによる近交系ラット間での骨髄移植実験を実施した。Lewisラットを用いた神経因性疼痛モデルを作製し疼痛行動観察によってSDラットと同等の神経因性疼痛モデルであることを確認した。Lewisラット神経因性疼痛モデルに骨髄移植をおこなった。比較対照群として骨髄幹細胞移植群とコントロール群を設けた。知覚閾値を定量化するため,von Frey hair検査器(エステシオメーターUGO BASILE社製)を用いて対象の足底を刺激して逃避閾値を測定した。逃避閾値は統計学的に有意差を認めなかったが,時間的要因に影響を受ける傾向(r=0.069)を認めた。さらに神経および筋組織を採取し、HE組織染色をおこない光学式顕微鏡にて観察した。 結果と考察 疼痛行動および組織形態学的には明らかな有意差を認めなかった。移植の影響をさらに解析するため、今後は免疫組織染色をおこない神経ペプチドの変化を確認する必要がある。また移植条件の再検討が今後の課題である。
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