2006 Fiscal Year Annual Research Report
マルチディメンジョナル・モデルによる発達性吃音の評価法の開発
Project/Area Number |
17500370
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原 由紀 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (50276185)
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Keywords | 発達性吃音 / マルチディメンジョナル・モデル / 吃音の認知 / 運動機能 / 言語力 / 社会的相互交渉 / 気質 / 評価法 |
Research Abstract |
発達性吃音は、複数の要因が複合的に関連して個々の状態像を形成し進展していく。このため、その状態像を的確に捉え、治療方針を立案するためには、多側面からの評価が不可欠である。本研究では、E.C.Healeyが提唱したCALMSモデルの考え方を日本の文化・社会性に合わせて改編し、さらに、その具体的な評価法を作成することを目的とした。平成17年度には、CALMS Modelの考案者のDr.Healeyを訪問し、その詳細につき情報収集、意見交換を行った。そして、吃音発症、進展に関わる説明因子として、運動機能・言語力・気質(情緒面の脆弱性と易興奮性などの行動特徴を含む)・吃音の認知・社会的相互交渉の5側面によるマルチディメンジョナル・モデルを考案した。それぞれの、因子を評価する方法として、まず、(1)運動機能の評価として、吃音の言語症状に関する評価と、粗大運動・微細運動も含めた運動機能の評価の2側面から評価を行う必要があると考えた。前者は、研究代表者も加わり開発した改訂版吃音検査法を用い、後者は日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査や津守稲毛式発達質問紙等を参考に作成した質問紙評価を実施した。(2)言語力の評価としては、研究代表者らが作成した幼児用表出・理解語彙検査や既存の言語力検査を実施した。これ以外の言語的要因が吃症状に与える影響について様々な視点から検討を加え、その一部を2006年に開催されたlnternational Fluency Associationの国際学会にて報告した。また、(3)社会的相互作用や吃音の認知、気質に関する評価として、コミュニケーション態度の自己評価表(大橋2001)や、Communication Attitude Testの日本語標準化版(2006川合)、独自の質問紙を試用し、その評価法の適切性について検討を加えた。 さらに、研究代表者が担当した発達性吃音症例のレトロスペクティブな資料を上記の視点から評価、分析しその治療経過の分析とあわせて、マルチディメンジョナル・モデルに基づくプロフィールの描き方、治療経過による変化について検討を加えた。
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