2005 Fiscal Year Annual Research Report
歩行から走運動への運動パターン変化に関与する身体運動情報の解明
Project/Area Number |
17500388
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 憲政 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (00210469)
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Keywords | 運動パターン / 歩行 / 走運動 / 衝撃力 / 筋トルク |
Research Abstract |
知覚・学習・運動システムである身体システムが,身体内部・外部環境の変化に柔軟に対応する典型的な方策として運動パターンの変化がある.特に,もっとも基本的な移動運動である歩行は,その移動速度を上げていくとある速度以上ではその運動形態を維持できなくなり無意識で走運動へと変化する.この移動運動パターン変化は,筋収縮エネルギーの最適な状態が自己組織的に選択されることから生じると考えられているが,実際の実験データに基づく検証は十分に行われていない.本研究は,歩行から走運動への移行に関与する運動とともに生じる身体内部情報を実験的に解明すること,そしてその明らかにした情報を用いて新たな移動運動パターン変化のモデルを提案することを目的とする.その第1年目として,以下の実験を行い,モデル化の基礎資料を得た. (本年度の実験)外踵上部に加速度計を装着した10名の被験者に,速度を徐々に増加させるトレッドミル上で,歩行から走運動へ移行するまで移動運動を行わせた.なおこの試技は,衝撃力が緩衝されるシューズ装着試技と衝撃力がダイレクトに身体に加わる裸足試技の2種類を行い,側方から高速カメラで撮影した.高速カメラから得られた画像データからスイング中の股関節トルクと膝関節トルクを算出し,身体に加わる衝撃力と供に,移動速度と伴いどのように変化するかを検討した.その結果,シューズ試技と裸足試技両者とも歩行から走運動への移行により内力が減少するが,衝撃力は依然として増加する傾向が見られた.よって,身体に加わる衝撃力の増加ではなく,下腿を前方にスイングする筋収縮力の増加がある臨界点に達することが,歩行から走運動への運動パターンの情報になっていると考えられた.
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