2006 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動感覚情報の利用が物体運動の知覚認知の正確性に及ぼす効果
Project/Area Number |
17500394
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 秀幸 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (70231412)
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Keywords | 固有受容感覚 / 位置判断 / 追跡課題 / 人間行動 / 知覚-連動連関 |
Research Abstract |
物体運動の知覚認知における視覚情報と固有受容感覚情報の関連性を明らかにするために,位置判断課題を用いて研究を行った.ターゲット位置判断課題では,スクリーン上を一方向に等速運動するターゲットの軌跡の後半部分は遮蔽され,被験者は遮蔽区間のターゲット位置を視覚情報のみによって判断することが要求された.固有受容感覚がターゲット運動の知覚認知に及ぼす影響を確認する実験において,被験者は追跡操作装置の追跡レバーを手で動かして,ターゲットを追跡することが要求された.実験の結果,ターゲットの運動軌跡を外挿する認知過程において,ターゲットを追跡している手の動きに関する視覚と固有受容感覚由来の情報が効果的に利用されることが明らかとなった.この研究成果は,2006年7月に開催された国際学会(The 11th Annual Congress of the European College of Sport Science)で発表した. しかしその一方で,視覚によって得られる手の位置情報の欠落によって,遮蔽区間中のターゲットの位置判断の精度は低下した.その原因として,手が動いている場合,固有受容感覚のみによる手の位置判断の精度そのものが低い可能性が考えられた.そこで,同じ実験パラダイムを用いて,この仮説を検証することを試みた.被験者は,ターゲットを追跡している自身の手の位置を判断することが要求された(手の位置判断課題).手の位置に関する視覚フィードバックが与えられた場合,非常に高い精度で手の位置を判断することができた.しかしながら,視覚フィードバックが与えられなかった場合,手の位置判断の結果はターゲット位置判断結果と同じ傾向を示した.この結果は,ヒトが外界の対象物の運動を表象する場合と自身の身体の運動を表象する場合,同じ認知モデルに基づいている可能性を示唆する.以上の研究成果を英文論文としてまとめた(国際雑誌への投稿準備中).
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Research Products
(1 results)