2005 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルキャピタルとしてのスポーツNPOの課題に関する研究
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17500412
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳沢 和雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (60191152)
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Keywords | ソーシャルキャピタル / NPO / アソシエーション |
Research Abstract |
1998年の特定非営利活動促進法の施行により、スポーツ界においても数多くのスポーツ組織が特定非営利活動法人(NPO法人)として認証されている。NPOには、中央政府や地方政府の規制や指導によって民間部門の活動を管理していくシステムから、複合的な行為主体、パートナーシップ、政策ネットワークが機能するようなシステムへの変革や、行政がすべてのサービスを提供し、地域住民や市民が受動的にサービスの受け手となる関係性への転換が期待されている。本研究は、スポーツNPOの現代的意味を、ソーシャルキャピタル(social capital;社会関係資本)、すなわち信頼社会に向けた関係資本の蓄積という視点から捉える。 本年度は、social capital論に関する内外の論文・文献を収集し、議論の流れや学派の整理を行った。あわせて、アソシエーション論やコミュニティ形成論とネットワーク論との関係についても検討を試みた。また、茨城県鹿嶋市におけるスポーツNPO法人「かしまスポーツクラブ」、千葉県柏市におけるスポーツNPO法人「スマイルクラブ」を対象に、スポーツNPO設立の経緯や展開されているスポーツ事業、NPO組織についてヒアリングを行った。これら2つのスポーツNPO法人へのヒアリングから、地域社会や地域の人材をベースとした「かしまスポーツクラブ」と、スポーツ事業に人材が集まる「スマイルクラブ」とではスポーツNPOの活動が大きく異なっている状況が整理された。このことから、スポーツNPOの成り立ちによってNPOと地域社会との関係性が異なり、その結果、スポーツNPOが生み出すソーシャルキャピタルの状況も異なることが予想された。
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