2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルキャピタルとしてのスポーツNPOの課題に関する研究
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17500412
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳沢 和雄 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (60191152)
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Keywords | ソーシャルキャピタル / スポーツNPO / 総合型地域スポーツクラブ / ネットワーク |
Research Abstract |
スポーツNPOの現代的意味とその経営課題を、ソーシャルキャピタル(social capital;社会関係資本)の蓄積という視点から検討した。昨年度は、social capital論に関する内外の論文・文献を収集し、議論の流れや学派の整理と、アソシエーション論やネットワーク論との関係についても検討を試みた。今年度は、研究対象となるスポーツNPOを、現在全国各地でその育成が行われている総合型地域スポーツクラブを対象に、そのソーシャルキャピタルの特性を検討した。ソーシャルキャピタルのとらえ方としては、総合型クラブの育成段階から総合型クラブ設立後に形成された組織間ネットワークの状況として捉えた。調査は、704クラブを対象に郵送法にて調査票を配布し(2006年11月9日〜26日)、281クラブから回答を得た(有効回収率39.9%)。 総合型クラブ設立前と設立後でより協力的となった傾向になる関係組織は「地域住民」「公共施設運営者」「民間フイットネスクラブ」等であり、「行政」と「既存クラブ」は関係が希薄になる傾向にあった。また総合型クラブが主体的にネットワーク形成を働きかけている組織としては「行政」が最も高く、次いで「学校教職員」「体育協会」「地域住民」「既存クラブ」であった。総合型クラブと「地域住民」とのネットワークが高いほど、住民ニーズの収巣、認知率の向上、会員の増力などの効果があり、「既存クラブ」とのネットワークが高いほど会員の増加、住民ニーズの収集などの効果が、「行政」とのネットワークが高いほどクラブ設立支援、財務的補助の効果が得られていることがわかった。このようにスポーツNOPとしての総合型クラブの設立からその後の運営においては、地域における関係団体とのネットワークの状況やその形成が重要であることが理解されるとともに、そのネットワークが地域のソーシャルキャピタルとして蓄積されていく可能性が示唆された。
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