2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストレッチングによる適応現象の両極〜一過性および慢性の可動性向上の比較から〜
Project/Area Number |
17500420
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Research Institution | OCHANOMIZU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水村 真由美 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (60292801)
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Keywords | 教育学 / 医療・福祉 / 生理学 / 老化 |
Research Abstract |
平成18年度においては、関節角度が変化した場合の筋出力の変化、すなわち筋の長さ-力関係に長期的なストレッチングによる柔軟性向上が及ぼす影響を検討した。なお従来の力発揮測定では、関節中心が力発揮中に変化しないために、関節周りを強く固定して行われるが、この手法では筋が発揮した力以外の要因による誤差(例えば固定具に抗して発揮された力)が生じる。そこで本調査のために、足底部に圧縮のみを検出するセンサーから力を検出するのではなく踵部分に圧縮と引っ張りの両方の力を検出できるセンサーを設置した新しいトルク測定器を開発し、従来の圧縮のみのトルク測定器との比較を行った上で前述の調査を行った。その結電図法を用いた底屈筋群の筋活動量の調査から、下腿底屈筋群にみられる筋の発揮張力およびその果、開発したトルク測定器と従来のものを比較したところ、総発揮トルクの10〜20%に踵部分で検出された引っ張り力が含まれることが明らかとなった。つまり本研究で開発した測定器はより正確な足関節底屈筋力の検出が可能ということが明らかとなった。 次いで開発したトルク測定器を用いて、さまざまな関節角度における足関節底屈筋力を調べることにより、個人の筋の長さ-力関係を調査した。対象は10年以上の舞踊経験を有し高い関節可動性を持つ女性5名であった。足関節角度を変化させた際の足関節底屈筋力と表面筋興奮性と関節角度変化に伴う筋の長さとの関係を検討し、足関節の角度変化に伴う筋腱移行部の移動および筋束長の変化を超音波Bモード法による断層画像(アロカ社製)から調査した。その結果、足関節底屈筋力の最大値は、全被検者で足関節背屈20度において確認されたが、高い関節可動性をもつ女性の中でも、筋の力-長さ関係には個人差がみられた。またこの個人差は、力発揮中の筋の興奮水準および筋の構造的特性の変化に影響を受ける可能性が示唆された。
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