2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動による骨格筋AMPキナーゼ活性化とその生理作用の修飾因子に関する研究
Project/Area Number |
17500424
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 達也 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (00314211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏木 亨 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (20135544)
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Keywords | 骨格筋 / 運動 / AMPキナーゼ / 筋収縮 / シグナル伝達 / 糖代謝 / 糖輸送担体 / 高脂肪食 |
Research Abstract |
本研究の目的は、運動によって惹起される骨格筋5'AMP-activated protein kinase(AMPK)の活性化とその生理作用がどのような分子メカニズムを介して調節されるかを検証することである。従来、骨格筋AMPKは、運動強度の増加に伴って2種類ある活性サブユニットのうちα2からα1の順に活性化されると考えられてきた。しかしながら、研究代表者らは、α1が骨格筋摘出時の機械的・代謝的ストレスによって顕著に活性化されることを見出すとともに、α1がAMP濃度の低下が生じない低強度の収縮で惹起され、運動強度が高くなるとα2が活性化されることを見出した。また、α1の活性化においては、運動に伴って骨格筋内に生じる酸化ストレスが、その活性化因子として作用している可能性を明らかにした。一方、AMPK活性化剤AICARを用いた急性活性化実験から、AMPKがグリコーゲン合成酵素を抑制し、グリコーゲン分解酵素(ホスホリラーゼ)には影響を与えないことを明らかにした。この結果は、運動中に顕著に活性化されるグリコーゲン分解やグリコーゲン合成にはAMPKが直接的には関与していないことを示すとともに、AMPKがグリコーゲン合成酵素を抑制することによって、筋収縮に伴って取り込まれたグルコースを解糖系を介してATP産生を促進する作用を有することを示唆するものである。さらに、研究代表者らは、骨格筋AMPKの中枢神経性調節についても検討し、メラノコルチン系の刺激剤(MT-II)と阻害剤(SHU9119)のマウス脳室内投与、並びに内因性メラノコルチン作動蛋白発現マウス(KKA^yマウス)を用いた実験から、レプチンによる骨格筋AMPK活性化がメラノコルチン系の活性化を介して生じている証拠を見出した。この結果は、運動時の骨格筋AMPKの活性調節に中枢神経系が関与している可能性についての示唆を与えるものである。
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Research Products
(3 results)