2005 Fiscal Year Annual Research Report
運動療法の効果を仲介する中枢神経ユビキチンリガーゼの同定
Project/Area Number |
17500430
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
二川 健 徳島大学, 大学院・ヘルスサイエンス研究部, 助教授 (20263824)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 夏生 徳島大学, 大学院・ヘルスサイエンス研究部, 教授 (00157984)
中屋 豊 徳島大学, 大学院・ヘルスサイエンス研究部, 教授 (50136222)
根本 尚夫 徳島大学, 大学院・ヘルスサイエンス研究部, 助教授 (30208293)
|
Keywords | Cbl-b / トレーニング / 運動失調 / 小脳 / Ataxin-7 / 尾部懸垂 |
Research Abstract |
長期間寝たきりや宇宙フライトしたヒトや動物はしばしば中枢性の運動失調(歩行失調)を起こす。これは、骨格筋の活動(緊張や運動方向)を中枢(特に小脳)がうまく感知できなくなるためと考えられる。申請者らは、航空宇宙開発研究機構との共同研究で、宇宙フライトや尾部懸垂した実験動物では、Cbl-bと呼ばれるユビキチンリガーゼが骨格筋と小脳で活性化していることを見出した。骨格筋のCbl-bは、インスリンの細胞内情報伝達分子IRS-1をユビキチン化し、そのプロテアソームによる分解を亢進した。一方、尾部懸垂後のマウスは著しい失調歩行を示し、小脳のCbl-bは小脳脊髄失調症の原因遺伝子であるAtaxin-7と結合していた。Ataxin-7は転写因子のCo-activatorの一つであり、その遺伝子異常は神経細胞のアポトーシスを誘導することが知られている。以上の知見より、筋肉の活動状態を感知した小脳のCbl-bが、Ataxin-7などをユビキチン化しその分解を亢進した結果、小脳細胞の転写活性が傷害されているのではないかと考えた。本研究では、主にCbl-b遺伝子欠損とCbl-bトランスジェニックマウスを用い、上記仮説を検討した。Cbl-b遺伝子欠損マウスはトレーニングの効果が持続することや尾部懸垂後の運動失調を起こしにくいことを見出した。トレーニングあるいは尾部懸垂に供したマウスの小脳におけるCbl-bの発現はそれぞれ正反対の反応を示した。Cbl-bの発現は尾部懸垂により増大し、トレーニングにより減少した。骨格筋の運動状態により小脳の蛋白質分解経路の活性状態が異なることが示唆された。現在、Cbl-bの結合蛋白質(主にAtaxin-7)のユビキチン化とその分解を解析中である。Preliminaryな結果であるが、Cbl-b遺伝子欠損マウスの小脳ではAtaxin-7の分解が起こりにくい。Cbl-bトランスジェニックマウスは現在作成中である。本研究は、筋肉から神経への逆行性の刺激を分子レベルで解明するものであり、骨格筋が機械的ストレスを感知し、その情報を神経系に保存するメカニズムを明らかにしつつある。
|
Research Products
(7 results)