Research Abstract |
文献資料の収集と分析を,主に、「競技スポーツの理論と実践」誌、ドイツ体育大学および体育スポーツ研究所の博士論文,教授資格論文,を中心に行った.重点は以下の通りである. 1.選抜・適性診断システムの制度面の全体像の把握 1973年に施行された選抜適性システムは,1976年から本格稼働することになった.トレーニングを続ける中でのタレントの発掘と育成という基本的な考え方から,12歳前後までの多面的なトレーニングにより,運動の可塑性と変動性を育成することが狙いとされた. 2.選抜・適性診断システムの科学 1)生物学的年齢の測定法に関する研究 スポーツ人類計測学の手法を確立することによって,簡便な形態発達インデックスを作製し,全児童を対象とする調査と検定が行われた.早生まれと遅生まれ,早熟児と晩熟児の選抜におけるチャンスの均等化という考え方をささえる,生物学的年齢の換算法が提案された.それにもとづいて,各種目毎の,平均発達年齢の得点表が作製された.これは,選手選抜時点での年齢的な特徴を把握するための基礎として役立てられた. 2)競技レベルごとの目標規準としての要求プロフィールの研究 選抜と育成の各段階で規準値が設定され,その達成度を参考に,トレーニング内容の重点化が行われた.パフォーマンス前提(エネルギー面と形態面),時間,試合結果を,規準値にもとづいて量化し,その関係から,発達診断,及び,トレーニング計画作成を行うという,指導者支援と指導の到達度判定のシステムが創られた. 3)成長過程の診断と予測診断に関する研究 成長発達の診断と予測診断のシステムが作り上げられるのは,1980年代になってからである.種目群毎に詳細な規準値表が作成された.競泳,漕艇,スピードスケート,体操競技,陸上競技,などの重点種目では,パフオーマンス診断,発達診断予測診断,適性診断という四つを柱とする診断システムが構築された. 3.選抜・適性診断システムをささえる専門家 1973年にドイツ体育大学の一般トレーニング研究室と,FKSのタレント発掘研究班の共同プロジェクトが組織され,基礎育成段階における総合的な研究が行われた.競泳,体操競技,漕艇,重量挙げ,レスリング,スピードスケート,球技(サッカー,バレーボール,ハンドボール)などが重点種目として研究された.
|