2005 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱下運動トレーニングによる皮膚血管拡張機能の変化機序の解明
Project/Area Number |
17500453
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山崎 文夫 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (80269050)
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Keywords | 皮膚血流調節 / イオン導入法 / 血管内皮機能 / 一酸化窒素 / トレーニング |
Research Abstract |
運動トレーニングを行うと、皮膚血管の拡張機能が亢進する。トレーニングによる皮膚血管拡張機能の変化のメカニズムは、中枢機構あるいは末梢機構の変化から推測されている。末梢における変化機序の1つとして、運動トレーニングを行うと筋の血管内皮機能が亢進することが報告されているので、皮膚血管においても同様な変化が起こる可能性がある。アセチルコリン(内皮にあるアセチルコリン受容体を介して一酸化窒素の合成を促進)とニトロプルシッド(一酸化窒素の供給薬剤)のイオン導入法(Iontophoresis)を用いることにより、皮膚血管拡張反応の変化が、血管内皮機能の亢進によるのか、それとも一酸化窒素に対する血管拡張反応の変化によるのかを評価することができる。本年度はこれらの薬物のイオン導入法のプロトコールを作成するため、被験者10名を対象として予備的な実験を行った。被験者は実験の内容や危険性についての説明を受けた後、同意書に署名した。まず薬剤投与試験中、レーザー血流計を用いて連続的に皮膚血流量をモニターするために、電流印加電極の中央部に血流測定用プローブを装着できるようにしたアクリル製チャンバーを自作した。先行研究を参考にして、いくつかの薬剤濃度と薬剤投与パターンを検討した。その結果、アセチルコリンに関しては、1%濃度で、0.1-0.2mA(20秒間)の電流を用いて1分間隔で計7-9回行うことが望ましく、ニトロプルシッドに関しては、0.1%濃度で、0.1-0.2mA(20秒間)の電流を用いて3分間隔で計3-4回投与するプロトコールが、生理的範囲内の皮膚血管拡張反応を検討するのに適当であると考えられた。問題点として、アセチルコリンに比べてニトロプルシッドの投与に対する皮膚血管拡張反応は部位差が大きいことが挙げられた。これについては複数の検査個所を設定して反応を平均化するなどの対策を講じる必要がある。
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