2006 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱下運動トレーニングによる皮膚血管拡張機能の変化機序の解明
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17500453
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山崎 文夫 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (80269050)
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Keywords | 皮膚血流調節 / トレーニング / 体温調節 / 深部体温 |
Research Abstract |
暑熱下で運動トレーニングを行うと、有毛部皮膚の血管拡張機能は亢進する。この運動トレーニングによる皮膚血管拡張機能の変化が無毛部においてもみられるか否かについて検討した。被検者は、健康な男子大学生であり、実験の内容や危険性についての説明を受けた後、同意書に署名した。実験は、8日間連続して行った。1日目および8日目にぼ、暑熱負荷テストを行い、その間の6日間は暑熱下運動プログラムを行った。1日の運動プログラムの内容は36℃の室温環境下で最高酸素摂取量の50%強度の自転車運動を20分間、10分間の安静を挟んで4回行うというものであった。暑熱負荷テストは、温水循環スーツを用いて40分間行った。平均皮膚温(T_<sk>)は、正常体温時には約35℃、加温中は約38〜39℃に維持された。暑熱負荷テスト中、前腕部(有毛部)と手掌部(無毛部)の皮膚血流量(SkBF)、食道温(T_<es>)、T_<sk>、および平均動脈血圧(MAP)を測定した。SkBFとMAPから皮膚血管コンダクタンス(CVC)を算出した。T_<es>、の上昇に対するCVCの応答から、皮膚血管拡張閾値T_<es>およびそれぞれの関係における勾配を算出した。暑熱下トレーニングによって、前腕部の皮膚血管拡張閾値T_<es>は有意に低下したが、T_<es>と前腕部CVCの関係の勾配は変化しなかった。手掌部CVCは加温の開始とともに増加し、加温中緩やかに増加する傾向がみられた。手掌部では前腕部のようにT_<es>の上昇に伴うCVCの急増反応がみられなかったので、血管拡張閾値T_<es>を見出すことができなかった。以上のことから、皮膚血管運動機能は、短期間の暑熱下運動トレーニングによって、有毛部では低い深部体温から血管拡張が開始されるように変化するが、無毛部ではそのような深部体温の上昇に伴う適応性変化が生じないことが示唆された。
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