2005 Fiscal Year Annual Research Report
栄養指導がもたらす生活習慣病の血栓傾向改善効果の検討
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17500478
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
高山 博史 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10197220)
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Keywords | 栄養学 / 内科 / 臨床 / 血液学 / 血栓、止血学 / 活性化血小板 / 血小板・単球複合体 / ラフト |
Research Abstract |
本研究は滋賀県立大学倫理委員会に申請し、平成17年9月に承認された。基礎的な検討として、まずフローサイトメトリを用いて活性化血小板膜上に発現するP-セレクチン量と血小板・単球複合体量の測定法の確立を試みた。前者の測定法においては血小板を認識する抗体としてFITCで標識した抗CD42a抗体とP-セレクチンを認識する抗体としてPEで標識した抗P-セレクチン抗体を採血後直ちにホルムアルデヒドで固定した全血に加え2種類の抗体で2重標識したサンプルを作成した。FITCで検出される血小板のうちPEも検出される血小板の比率をもとめ全血中の活性化血小板量の評価を行うことができた。後者の測定法においては採血後直ちにホルムアルデヒドで固定した全血に蒸留水を加え赤血球を溶血させて除き単球を認識する抗体としてPEで標識した抗CD14抗体とFITCで標識した抗CD42a抗体を加えサンプルを作成した。PEで検出される単球のうちFITCも検出される単球の比率を求め全血中の血小板・単球複合体量の評価を行うことができた。次に、血小板膜微小領域(ラフト)の分離とラフト中に含まれるコレステロール量およびコラーゲン受容体GPVI量の測定法の確立を試みた。採血後、全血より洗浄血小板を作成し可溶化剤BRij98を加え溶解した後、ショ糖密度勾配超遠心法によりBRij98に不溶化の分画であるラフトを分離した。ラフトに含まれるコレステロール量はコレステロールをBrigh-Dyer法で抽出したのち比色法により測定することができた。ラフトに含まれるGPVI量は抗GPVI抗体を用いてラフトサンプルのウェスタンブロットを行った後、デンシトメーターを用いて定量することができた。以上の様々な測定法の基礎的検討を行った後、患者の検討に入る前に健常成人のデータを取ることを始めた。20から60歳の健常成人より全血を採血し、一部より直ちに血小板多血漿(PRP)と血小板乏血漿(PPP)を分離し、血小板凝集計によりコラーゲン、ADP,エピネフリン、アラキドン酸などの刺激剤を用いて血小板凝集能を測定した。PPPは後日、血糖値、コレステロール量、HbAlcなどの測定のために冷凍保存した。一方で、残りの全血を用い、フローサイトメトリ法による活性化血小板量と血小板・単球複合体量の測定を行った。また、洗浄血小板を作成した後、ラフトを分離しラフト中のコレステロール量およびGPVI量を測定した。現在、食事指導中の糖尿病、肥満症、高血圧、および高コレステロール血症などの患者からも採血し同様の検討を開始したところである。今後、定期的に採血し経時的変化と健常人データとの比較の検討を行っていく予定である。
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