2005 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスマネジメントプログラムを用いた児童生徒の生きる力の育成に関する研究
Project/Area Number |
17500482
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋田 洋徳 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教授 (70284130)
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Keywords | 児童 / ストレス反応 / 認知的再体制化 |
Research Abstract |
本研究においては,児童生徒の生きる力を育成するために,認知行動的アプローチを用いた具体的な方法論を構築する一環として,小学生を対象として検討を行うことを目的とした。児童にとってストレスフルに感じる場面(怒り喚起場面)を設定し,小学生の場面に対する認知を測定した。その結果,場面認知の仕方やプロセスは個人差が大きく,児童の有する問題解決能力に大きく影響していることが示された。そこで,小学生にとって経験頻度が高い人間関係の場面を取り上げ,怒りが喚起されやすい一方で,相手の意図が多義的である具体的な場面を設定した。そして,事前にベースラインとして,場面に対する認知,およびストレス反応を測定し,場面に対する認知の変容を目的とした介入を行った。介入は,場面に対する認知の仕方によって生起する感情は異なること,認知の仕方を変容することによってネガティブな感情は低減することを内容とする心理的教育,および具体的な提示場面に対する別の解釈の可能性を案出するワークから構成された。介入の結果,場面に対して強くネガティブな認知を行っていた児童は,ネガティブの程度が減少し,ストレス反応も低減したことが明らかにされた。また,ケース研究においても,介入の理解度が高い児童は,ほぼ同様の傾向が確認された。以上の結果を総合すると,直面したさまざまな場面に対して,児童の多様な解釈の可能性を柔軟に考えることができる能力を高めることが,ストレッサーの主観的な経験頻度を低減させ,ストレス反応表出の抑制を引き起こすことが示唆された。
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