2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の骨筋系疾患予防に最適な運動・栄養に関する新しいガイドラインの作成
Project/Area Number |
17500493
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
青柳 幸利 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 副参事研究員 (50202495)
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Keywords | 高齢者 / 運動 / 栄養 / 骨筋系疾患 / 加速度センサー付体動計 |
Research Abstract |
群馬県中之条町の65〜86歳の健常高齢女性100名を対象とした。募集の基準は、参加の意思があること、毎年7月の定期健康診断を受けていること、身体活動を制限する可能性がある、特に重篤で慢性的な病気や痛みがないこと、骨折、卵巣摘出、もしくは骨代謝に影響を及ぼすような疾患(例えば、癌、腎臓病、慢性関節リウマチ)の既往がないこと、エストロゲンや他のホルモン剤を服用していないこと、であった。すべての対象者には、本研究の趣旨を十分に説明し、参加に対する同意を得た。 被験者を、無作為に2群(実験群vs対照群)に分けた。2004年8月から2005年7月までの1年間、実験群には乳塩基性タンパク質(MBP)を配合した清涼飲料「毎日骨ケアMBP」(雪印乳業(株)製)を毎日1本(50ml)ずつ飲んでもらい、一方、対照群には日常生活を送ってもらった。両群とも、骨代謝(骨形成および骨吸収)マーカーおよび骨密度(橈骨)、骨強度(踵骨)の測定を6ヶ月ごとに年3回行った。また、同期間中は、加速度センサー付体動計を毎日、終日装着してもらい、毎月初めの2日間でデータを回収した。 若年成人を対象とした先行研究と同様、MBPの骨形成マーカーへの効果は認められなかったが、客観的かつ精確に毎日、終日測定された日常身体活動を調整した上で、MBPの飲用群は非飲用群と比較して骨吸収マーカーが1年後に有意な低値を示した。その結果、橈骨における骨密度の加齢に伴う低下にはMBPの効果は認められなかったが、踵骨ではOSI(骨強度)スコアの維持改善がみられた。 本研究により、日常身体活動を補正してもなお、MBPの骨代謝への独立した効果が高齢者で初めて確認された。ただし、その効果は若年層よりも半年ほど発現が遅れ、下肢のように日頃よく使う部位でのみ顕在化されるかもしれない。
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Research Products
(5 results)