2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500504
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
後藤 景子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (30243356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 由美子 神戸ファッション造形大学, ファッション造形学部, 助教授 (40207808)
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Keywords | エキシマ紫外光 / 高分子表面 / 接触角 / 表面自由エネルギー / モデル洗浄系 / 水晶振動子 / 自由エネルギー変化 / エタノール |
Research Abstract |
快適で安全な衣服設計の観点から、エキシマ紫外光を照射して合成繊維製品を親水化する試みに関して、重要な実用性能の一つである洗浄性への影響を検討した。布は幾何学的形態が複雑であり、洗浄性評価が難しいので、実験はモデル基質を用いて行なった。モデル汚れにはステアリン酸と球形ポリエチレン粒子を用いた。まず、紫外光照射前後のポリエチレンテレフタレート(PET)板に汚れを付着させ、エタノールやアルカリを含む水溶液中で洗浄を行ない、重量法や粒子計数法により洗浄性を評価した。いずれの汚れでもエタノールやアルカリの洗浄効果が認められること、並びに紫外光照射後のPET板のほうが洗浄率が高くなることがわかった。 次に、水晶振動子(QCM)上にポリエチレン、ナイロン、およびアセテート膜をスピンコートする方法でモデル基質を作製した。基質に上記のモデル汚れを付着させ、QCMの周波数変化から洗浄性を評価したところ、PET板で得られた結果と同様の傾向が認められた。PE膜とモデル汚れの表面自由エネルギー、並びに洗浄液の接触角を測定して、汚れの脱離に伴う自由エネルギーΔGを算出した。洗浄率とΔGの関係を調べたところ、ΔGの値が大きいほど汚れの洗浄が抑えられる傾向が認められ、このモデル系が洗浄性の評価に有効であることがわかった。この結果を第6回世界洗剤洗浄会議(2006 10/6-16、スイス、モントルー)で発表し、出席者との議論を行なうことで洗浄剤や洗浄性評価の現状についての最新情報を得た。 現在、このこれらの成果を論文にまとめるとともに、水晶振動子(QCM)上の各種高分子膜に紫外光を照射し、洗浄実験を行なっている。
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