2005 Fiscal Year Annual Research Report
一養蚕農家の家計と生活史-大正期から戦中期の家計記録から-
Project/Area Number |
17500521
|
Research Institution | Utsunomiya Junior College |
Principal Investigator |
中川 英子 宇都宮短期大学, 人間福祉学科, 教授 (70352573)
|
Keywords | 生涯家計モデル / コーホート / 生活史 / 養蚕農家 / 家計構造 / 大福帳 / 家計調査 / 地主と小作人 |
Research Abstract |
【研究目的】 世帯主のコーホート別の生涯家計モデルを現存する家計調査資料から作成しようとする場合、最も長期にさかのぼることができるのは、世帯主が昭和5〜10年生まれのコーホートまでである。それ以前の人々がどのような生涯家計をたどったのかについてみるためには、生涯(長期)にわたり記録された個別家計を分析するという方法によるしかない。この個別の生涯家計分析からは、歴史の表舞台ではみられない一庶民の生活史が浮き彫りになるはずで、その研究意義は深いものと考えられる。 そこで本研究の初年度は、大正期から戦中期にかけて一養蚕農家の世帯主が記録した長期家計記録から、その家計変動と生活史を明らかしていきたい。 【研究方法】 本研究の資料となる家計記録は、U家の世帯主K氏が大正6年から昭和18年までの間、大福帳形式で記録した12種類の帳簿からなる。分析にあたっては、毛筆で書かれた日々の家計収支を、現在の「家計調査」に準じる形で項目・細目別にコード化し、パソコンに入力・処理するという方法を用いた。また、このほか、現在ご健在のK氏の子どもたち(きょうだい4人)に対する2回の面接調査結果を参考にした。 【結果】 U家の家計記録からは、まだ都市と農村の生活水準の格差が著しかった大正から昭和前期にかけての農家の日々の生活の様子を明らかにすることができた。また、U家の際立った家計の特徴は、資産購入の多さにあった。そこからは、小作人であった一農民が次々と田畑や山林を購入し、やがて小作料を収入の一部とするまでになっていった姿が明らかになった。 次年度(最終年度)は、U家がたどった社会経済的背景や家族の個別的背景を十分検討することで、さらにU家の家計の特徴と生活史を詳細に分析していきたい。
|
Research Products
(1 results)