2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活保護被保護世帯・低所得世帯の住宅状況と居住水準に関する研究
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17500528
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
阪東 美智子 国立保健医療科学院, 建築衛生部, 主任研究官 (40344064)
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Keywords | 社会福祉関係 / 人間生活環境 / 住宅 / 生活保護 / 居住水準 / 低所得 / ホームレス |
Research Abstract |
昨年度の調査から、(1)東京都区が実施している「ホームレス地域生活移行支援事業」の移行先の住宅水準が低位であること、(2)大阪市西成区の60歳以上の高齢居宅生活保護者の住宅水準が低位であり、住宅扶助額が居宅保護者を対象とする住宅の家賃を住宅の質や状態に関係なく上方に硬直化させていること、がわかった。 今年度は、既存の統計の解析などによる、生活保護被保護世帯および低所得世帯の住宅状況の全体像、および、民間賃貸住宅や公営住宅の家賃動向の把握を行い、現行の住宅扶助基準と比較検討を行った。これらのデータを電子住宅地図に落とし、その分布を整理した。また、大阪就労福祉居住問題研究会の協力を得て、ホームレス状態から生活保護などにより住宅を得た人の全国実態調査から、住宅状況についてのデータを取り出し、分析した。さらに、生活保護施設やホームレス等住宅困窮層が利用する施設基準を整理し、施設水準との比較から、住宅困窮層のための住宅の居住水準について考察した。 民間賃貸住宅の家賃については、住宅・土地統計調査などから地域差が大きいことが明確である。また、同一都道府県内でも地域格差がある。これらの状況は、全国実態調査のデータからも裏付けられた。23特別区内や大阪市などでは、平均値をベースとした家賃算定を満たす住宅は少数であり、また住宅扶助限度内の住宅は質や状態の点で問題があることが明らかになった。敷金や共益費負担など、現行の住宅扶助費でカバーされていない住宅関連費の金額にも地域や場所によって大きな開きがある。保証人など、金銭的保障だけではカバーしにくい問題についての対応も、必要である。施設水準については、高齢者や障害者等を対象とした施設と比較して、低所得層やホームレス等の住宅困窮者が利用できる生活保護施設等は、その水準が非常に低位であり、施設基準の見直しも今後の課題といえる。
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Research Products
(2 results)