2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域高齢者の生きがいと健康づくり、痴呆予防のための栄養教育の検討
Project/Area Number |
17500556
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Research Institution | Gifu Women's University |
Principal Investigator |
桑野 稔子 岐阜女子大学, 家政学部, 助教授 (20213647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 美紀 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教授 (90240358)
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Keywords | 高齢者 / 栄養教育 / 低栄養 / 行動科学理論 |
Research Abstract |
【目的】本年度は、高齢者の栄養問題の一つである低栄養に焦点を当て、行動科学理論を用いた継続的な栄養教育の実践が対象者の食物摂取状況に及ぼす影響を検討した。 【方法】G県Y市M地区在住の自立した高齢者で研究に同意を得かつ6ヶ月間の栄養教育と調査に全て参加した高齢者29名(女性:29名、平均年齢79.8±5.8歳)を調査対象とした。栄養教育は、平成18年6月から12月までの6ヶ月間、月1回の低栄養予防の集団栄養教育で、行動科学理論(プロチャスカらの行動変容段階モデル)に基づいた栄養教育を計5回実施した。栄養教育の評価は、栄養教育介入前、介入中、介入後に対象者の栄養アセスメント(身体計測、血液生化学検査、食物摂取状況調査)およびアンケート調査により行った。集計は栄養教育介入前のエネルギー、たんぱく質摂取量をそれぞれ0〜25%tile未満、25〜50%tile未満、50〜75%tile未満、75%tile以上の4群に分け、統計処理(SPSS13.OJ)を実施した。 【結果・考察】対象者のエネルギー摂取量は、食事摂取基準の推定エネルギー必要量を満たしており、たんぱく質摂取量についても推奨量を満たしていた。エネルギー摂取量については、0〜25%tile未満の摂取量の少ない対象者において、栄養教育介入前、介入中、介入後で増加傾向がみられた。また、たんぱく質摂取量は0〜25%tile未満の対象者において栄養教育介入前と介入中、栄養教育介入前と介入後でそれぞれ有意に摂取量が増加した(p<0.01)。また、エネルギーおよびたんぱく質摂取量が0〜25%tile未満の対象者においては、行動変容段階モデルにおける行動変容のステージが栄養教育介入前と介入後に上昇した。以上の結果より、一般的に行動変容しにくいと言われている高齢者においても行動科学理論に基づいた栄養教育を実施する事で、摂取量の低い将来的に栄養状態が問題となりうる可能性のある対象者において、特に栄養教育効果がみられ、自立した高齢者の低栄養を予防できる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)