Research Abstract |
食物中ポリフェノール化合物の存在量(含量)と発がんプロモーション抑制効果が加工・加熱調理でどのように変化するか調べた。 H17年度は,(1)モデル食品を用いたポリフェノール化合物の抽出法の検討,(2)ポリフェノール化合物の分析法の検討,(3)抽出物を用いた発がんプロモーション抑制作用の検討の3点について基礎的な検討を行った。 (1)モデル食品を用いたポリフェノール化合物の抽出法の検討:モデル化合物として,茶,リンゴ,ブロッコリー,タマネギ,ダイコンなどについて予備的検討を行った中から,煮る,焼く,炒める,油で揚げるなどの加熱調理を行うことができることからタマネギをモデルとして選定した。ポリフェノール化合物の抽出は,メタノール,エタノール,酢酸エチルの3種用剤を用いた抽出実験から,メタノールが抽出効率と液クロ分析の2点から考えて適していた。炒める,油で揚げる場合にはメタノール抽出の前にヘキサン処理して油分を除去することが好ましいことが分かった。 (2)ポリフェノール化合物の分析法の検討:当初,HPLC(Tosoh ODS-Ts80)による分析を想定していたが,ポリフェノール化合物は多種類存在するため,分離が困難な場合があることが明らかとなった。そのため,予定を変更し年度途中から使用可能となったLC-MS/MS(Applied Biosystems, API2000)を用いた分析法を採用することとした。これにより当初予定していた表記の5種の他に食品中で普遍的に存在するルチン,ケルセチンなどを含めて,液クロ的に重なるピークがあっても正確に分析することが可能となった。 (3)抽出物を用いた発がんプロモーション抑制作用の検討:タマネギメタノール抽出物を用いて,ミリシトリン非添加・添加の比較実験を行い,ミリシトリン単独の場合の活性がミリシトリン添加でもほぼ反映されることが確認された。
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