2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速増殖炉開発の歴史に関する日本とフランスの比較研究
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17500685
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 智恵子 日本大学, 商学部, 助教授 (70318319)
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Keywords | 原子力 / 高速増殖炉 / フランス / オーラルヒストリー |
Research Abstract |
これまでフランス原子力庁(以下CEA)の報告書や原子力関連雑誌等を調べ、フランスに於ける高速増殖炉(以下FBR)開発に関する資料収集とその歴史的分析を行ってきたが、それに加えFBR開発に貢献したフランス人研究者へのインタビューを開始し、オーラルヒストリーの手法を本研究に導入した。インタビューの結果、既存文献では詳しく述べられていない様々な情報を得ることができたが、同時にインタビュー内容を裏付ける新しい資料を見出すことが必要となった。そこでCEAアーカイブスにてFBR開発に関する資料調査を行った。その結果、初期のFBR開発に於けるフランスとアメリカの協力を明らかにしたが、これによりこれまでのFBR開発史に新解釈を投じることができたと考える。 1.インタビュー内容 2006年6月と7月に、G.Vendryes氏・R.Carle氏・J.Bouchard氏にインタビューを行った。フランスは原子力開発をどう考えているのか、なぜフランスは原子力開発を促進してきたのか、といった一般的な質問と、CEAがFBR開発研究を開始した動機、初期のFBR開発の研究体制や国際協力に関する具体的な質問を行った。インタビューは録音後、データベース化した。さらにテープ起しをしてインタビュー内容を文書化し、被インタビュー者に校正して頂いた。尚、このインタビュー内容の公開については、被インタビュー者にその了承を得ている。 2.インタビューを裏付ける資料収集 インタビューでは、初期のFBR開発に於いては国際協力が大きな役割を果たしたことが明らかになったが、既存文献ではそれに関して詳しく述べられていない。そこでインタビューを裏付ける資料を新たに見出す必要が出てきたため、CEAアーカイブスにて資料を収集した。 3.初期のFBR開発に於けるフランスとアメリカの協力 CEAアーカイブスの資料によって、初期のFBR開発では、フランス人研究者がアメリカに派遣され多くを学んでいたことが分かった。既存研究では、原子力開発に関するフランスとアメリカの対立ばかりが強調されている。本研究では、既存研究とは異なり、フランスとアメリカの研究協力が、初期のFBR開発の発展に大きく貢献したことを新たに明らかにした。
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Research Products
(1 results)