2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市表面形状が夜間ヒートアイランドに与える影響の評価
Project/Area Number |
17500699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
榊原 保志 信州大学, 教育学部, 助教授 (90273060)
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Keywords | 都市気候 / ヒートアイランド / 都市環境 |
Research Abstract |
都市の表面形状が夜間ヒートアイランド形成に関与していることは確からしい.しかし,どのように関与するかについては,(1)長波放射収支量の減少を小幅にすること,(2)建物に起因した大きな粗度による都市大気の混合が接地逆転の形成を妨げることの2通りのメカニズムが考えられ,どちらのメカニズムが大きな寄与をしているかについてはよく分かっていない.今回の研究では、(1)長波放射収支量の減少を小幅にするメカニズムがヒートアイランドにどの程度効いているかを評価し、都市計画に役立てることが目的である. これまで観測された資料の解析と人工気象室における都市と郊外のスケールモデル実験の結果を用いて,最大ヒートアイランド強度が天空率で説明できるかどうかを検討した.hardware scale modelの実験結果は日没後の都市内外の気温差の推移を上手に再現できた.しかし,その値は,これまでの報告された日本の諸都市の最大ヒートアイランド強度と比べ,はるかに小さい.そして最大ヒートアイランド強度と天空率の間には相関関係は認められなかった.この理由として,日没時にすでに都市と郊外の気温差が生じていること,ヒートアイランドは風が弱いときに最大になるとは限らないことなどが考えられる. 次に,建物に起因した大きな粗度による都市大気の混合が接地逆転の形成を妨げるメカニズムを調べるために,小布施町市街地内外で行った係留気球観測の資料を解析したところ,小集落における都市大気混合が起こる高度はかなり低いことが明らかになった.しかも夜間市街地の気温鉛直プロファイルは中立ではなく,地表面付近には弱い逆転層が生じていることが分かった。夜間ヒートアイランド形成に都市の表面形状の役割をより効果的に評価するため,夜間ヒートアイランド強度とその都市における天空率も含めた各種表面形状の指標の取得が求められるので,現在東京,福岡,上田,小布施においてデータロガーによるインターバル観測,移動観測,都市表面指標の調査を実施中である.
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