2006 Fiscal Year Annual Research Report
火山地域における自然撹乱と植生動態の第四紀生態学的研究
Project/Area Number |
17500705
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
高岡 貞夫 専修大学, 文学部, 助教授 (90260786)
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Keywords | 火山地形 / 植生帯境界 / 空中写真判読 / 傾斜変換線 / 表層土壌 |
Research Abstract |
長野県焼岳およびその南方にある安房山の梓川右岸にあたる斜面において、オルソ化した空中写真を用いた植生図・地形分類図の作成と現地調査により、ブナ林およびブナ孤立木の分布を地形・地質条件との関係から検討した。ブナは分布上限に近い標高1700m以上では、山腹斜面の遷急線(開析前線)より下方に位置する崩壊斜面、崖錐、沖積錐に偏在していた。また概ね1700m以下の標高域では、崩壊斜面や崖錐にブナの優占する林分が成立する場所が存在した。 焼岳南斜面の下堀沢溶岩からなる斜面で、二つのトランセクトにおける地形・土壌条件と植生との関係をみたところ、ブナの優占する落葉広葉樹林域とその上方のコメツガが優占する針葉樹林域との間に遷急線(場所によっては不明瞭)があり、針葉樹林域では巨礫が表層に出現する頻度が高かった。これらの巨礫は溶岩流時の急冷によるものか、周氷河作用によるものかは不明である。また安房山では、遷急線より上方の針葉樹が優占する斜面で、化石周氷河斜面の一部と考えられる、岩塊が覆う斜面が観察される場所が存在していた。しかし岩塊斜面の分布範囲と遷急線の位置との一致が常に観察されるわけではなかった。 両地域にとも、遷急線と表層構成物質の違いが森林分布に関わっている点は共通するが、安房山では地質構造の違いと対応すると考えられる、斜面方位による開析の進み具合の差が認められた。このことが分布上限付近のブナ林が特定の斜面に偏在することと関係していた。
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Research Products
(1 results)