2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500711
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
守屋 以智雄 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (50052494)
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Keywords | 世界の火山 / 地形発達 / 火山の分類 / 火山地形分類図 / AOスキャナー |
Research Abstract |
ここ20年間積み上げてきた「世界の火山の地形発達と分類」研究をまとめる第一段階として,平成17年度はメキシコ中央部を東西に走るメキシコ中央地溝帯内,アメリカ合衆国,中米のグアテマラ・ニカラグア・エルサルバドル・コスタリカ・パナマに分布する火山の個数・種類・規模・構造・発達などについての総括を試みた.例えばメキシコ中央地溝帯内にはカルデラ火山5-10,成層火山50,小楯状火山560,スコリア丘1600,溶岩ドーム650個が数えられる.これら各地に分布する火山の差違は,それぞれの地域の構造・地殻応力場・プレートテクトニクス・マグマ発生量などに関係する,例えば,(1)メキシコ中央地溝火山帯における成層火山・カルデラ火山とスコリア丘火山・小楯状火山の共存は,メキシコ中央火山帯が単なる島弧型火山帯ではなく,大陸の断裂,大陸下のトランスフォーム断層の開口,拡大軸のジャンプなどにともなうマントル高温物質の湧き上がりも起こっている地域であることを示唆する,(2)基盤山地周縁部に成層火山が,低地にスコリア丘火山・小楯状火山が存在することは,大陸の断裂やマグマの上昇のメカニズムに地殻の厚さが大きく関与していることを暗示する,(3)Cocosプレートなどの沈み込み,大陸の断裂,マグマの発生・上昇の過程を知るには火山活動の時代的推移を知ることが重要である,などの問題点が明らかとなった.この研究の基礎データとして数多くの火山地形分類図を作成した.その一部はすでに科学研究費成果報告書中に掲載しているが,情報量を落とした縮小図であるので,基礎データとして十分でない.上記の本研究の信頼性を保障する基礎データとして,世界各国の5万分の1地形図を基図とした原寸大の地形分類図を公表する必要があるが,費用の点でほぼ実現が不可能と思われた.しかし近年発売されたAOスキャナーの出現はこの実現を可能にした.本研究補助金でAOスキャナーを購入,パソコン上で作成した火山地形分類図をDVDに焼くことを目指した。試行錯誤の末,本年度後半に3枚の試作品が完成,「世界の火山の地形発達と分類」研究をまとめる際に必要な基礎データとしての原寸大の火山地形分類図を廉価で大量に作成し,一般研究者などに公表する目途が立った.
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