2005 Fiscal Year Annual Research Report
東シベリアにおける森林破壊が土壌のアルカリ化と生態系の二酸化炭素収支に及ぼす影響
Project/Area Number |
17510018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
LOPEZ Larry 北海道大学, 低温科学研究科, 学術研究員 (20374712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町村 尚 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30190383)
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Keywords | 森林破壊 / 気候変動 / 土壌の化学組成 / 二酸化炭素 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
近年、北半球高緯度地域では、地球温暖化の影響で気温と降水量の増大傾向が見られる。しかしながら、この増加は夏季より冬季の方が顕著であるということは、これまであまり注目されてこなかった。冬季における積雪量の増大は、雪の断熱効果の影響で地中の温度環境の変化を促進させる。また、大規模な攪乱(たとえば、森林火災・皆伐・農地の造成・建設工事など)は森林を疲弊させるとともに、永久凍土層の安定性に影響を及ぼす温度環境の変化をも引き起こす。融解した永久凍土からの塩類の流出の結果である土壌中の塩留組成の変化は、森林の回復を抑制し、広い地域の二酸化炭素収支を変化させる恐れがある。 これまでの観測の結果、森林火災と皆伐は、その大きさの観点からもっとも強烈な攪乱であることが示された。一方、これらの活動層増大の効果が可逆的かつ土壌の化学組成によって変化するということは、まだ完全に解明するには至っていない。電気伝導度測定の結果は、森林土壌における塩類の含有量は低いが、草原におけるそれは高いことを示した。本年度の観測結果を考察すると、気候変動は、局所的な攪乱以上に永久凍土に与える影響が大きいことが示唆された。このことは、例えば、 森林火災が地域的な森林破壊を引き起こすといる説を、もっと注意深く吟味しなければならないことを示している。さらに、森林火災は、樹木の根系が到達していない層に、定期的に活動層を増大させことで塩類を排出する事によって、生態学的機能を働かせているとも考えられる。
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Research Products
(1 results)