2006 Fiscal Year Annual Research Report
メダカの環境汚染物質誘発肝癌における発癌メカニズムの分子生物学的検証
Project/Area Number |
17510028
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Research Institution | NIPPON VETERINARY AND LIFE SCIENCE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
土田 修一 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教授 (20217326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 隆彦 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (70060530)
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Keywords | メダカ / 環境汚染物質 / β-カテニン / SMYD3 / 肝癌モデル / 分子腫瘍学 |
Research Abstract |
化学物質により誘発されるメダカの肝腫瘍モデルにおけるヒトで報告されている腫瘍関連遺伝子の関与を明らかにすることを目的に、メダカのβ-カテニンに焦点をあて解析を行なった。N-nitrosodiethylamine(DEN)で誘発したメダカの肝腫瘍組織と非腫瘍組織とで、β-カテニンの細胞内代謝に関連すると推測されるエクソン3領域の塩基配列を比較したが、タンパク質変異を引き起こすと推測される変異は遺伝子レベルで検出されなかった。次いで、ヒトの肝腫瘍に関連して高い発現が認められているSET and MYND domain-containing protein 3(SMYD3)遺伝子の発現をメダカの化学物質誘発肝腫瘍で検討した。ヒトのSMYD3遺伝子のメダカにおける相同遺伝子を、SMYD3のzf-MYND領域およびSET領域の相同性の高い部位に作成したプライマーを用いてRT-PCR増幅してクローニングした。その結果、1314塩基対のORFを有するcDNAが得られた。これより推測されるメダカのアミノ酸配列の相同性はヒトのSMYD3と比較して必ずしも高くないが、SETおよびzf-MYNDドメイン領域に比較的高い相同部位を認め、SMYD3タンパク質が持つhistone methyltransferaseとしての機能的な相同性を有する可能性が示唆され、メダカにおけるSMYD3遺伝子の相同遺伝子であると推測された。得られたメダカの相同遺伝子のmRNA発現を、化学物質で誘発した肝腫瘍組織と非処理メダカの肝組織とでRT-PCR/サザンハイブリダイゼーション法により比較したところ、無処理コントロール群のメダカ肝組織に比較して、腫瘍化した肝組織では高い発現が検出され、メダカの化学物質誘発性肝腫瘍においてもヒトの場合と同様にSMYD3の高発現が腫瘍化に関連している可能性が示唆された。
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