2005 Fiscal Year Annual Research Report
リスク/環境コミュニケーションによる社会的記憶の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
17510030
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 善樹 武蔵工業大学, 環境情報学部, 助教授 (10320011)
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Keywords | 環境コミュニケーション / 社会的記憶 / テキスト・マイニング |
Research Abstract |
本年度は、以下3点の内容について研究及び作業を行い、来年度のデータ分析と調査のための準備を進めた。 (1)本研究テーマでは、当初、脆弱性/復元性に関する環境科学から社会的記憶の概念を構成したが、近年の歴史学、社会学、カルチュラル・スタディーズにおける記憶に関する多くの研究成果-主としてベンヤミンやフーコーの歴史哲学に影響を受けた研究成果-に鑑み、社会的記憶の概念を再構築した。すなわち、過去についての社会的記憶が現在においても政治的交渉過程の中で継続的に再形成されており、それが本研究テーマの主要な目標である未来の社会的記憶形成とどのように関わり得るかを、分析の枠組みに加えることとする。 (2)環境コミュニケーションのうち、地球温暖化と生物多様性に関する一般雑誌記事と広告映像を収集し、スキャンニングとテキスト化によってデータベース化を開始している。また、文学と芸術における環境コミュニケーションの収集も開始した。収集過程での予備的な観察から、上記(1)の観点の重要性が確認された。すなわち、地球温暖化や生物多様性に関する「語り」で用いられる「クリーシェ」(型にはまった言い回し)において過去の多様な出来事の記憶が頻繁に用いられており、それが環境コミュニケーションの重要なレトリックを構成していることが示唆された。 (3)テキスト・マイニングを行うためのハードウェアおよびソフトウェアの環境を整備した。テキスト・マイニング・ソフトウェアとしては、機能、拡張性、価格を比較検討し、数理システムのText Mining Studioを採用した。 以上。
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