2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネ・シロイヌナズナのUVB超耐性突然変異体を用いた新規UVB耐性遺伝子の同定
Project/Area Number |
17510037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日出間 純 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (20250855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 淳 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門バイオ応用技術研究ユニット, ユニット長 (80343911)
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Keywords | 紫外線UVB / UVB耐性突然変異体 / UVB耐性遺伝子 / UVB耐性機構 / イオンビーム / イネ / アラビドプシズ / DNA修復 |
Research Abstract |
本年度は、既に選抜した変異体の変異原因遺伝子を推測するために、主としてイネUVB超耐性突然変異体(uvt-Sa4)と超感受性突然変異体(uvs-Sa3)に関して、変異体の特徴解析を行った(日出間担当)。またシロイヌナズナUVB超耐性突然変異体(uvi4)に関しては、「なぜ核内倍加により紫外線耐性を獲得したの?」に関して生理学的解析を行った(田中担当)。 シロイヌナズナUVB超耐性突然変異体uvi4の変異原因遺伝子であるUVI4遺伝子は新規の塩基性タンパクをコードしており、uvi4変異体の胚軸では核内倍加が1回多く進むことを見出した。uvi4変異体の葉においても核内倍加の促進が確認された。UVI4遺伝子は細胞分裂が盛んな組織で強く発現する一方、葉の発達過程においては、UVI4遺伝子の発現は求基的に消失した。葉全体の面積は発達過程を通してuvi4変異体と野生型との間で差が見られなかったが、表皮細胞の平均面積はuvi4変異体で有意に大きいことから、uvi4では細胞数が少なく且つ細胞が大きいことがわかった。これらの結果から、UVI4が細胞の分裂状態の維持に必要であり、遺伝子の変異によって核内倍加が促進されることが示唆された。四倍体のシロイヌナズナは二倍体のシロイヌナズナに比べて紫外線に耐性であり、このことは、uvi4変異体での核内倍加の促進が紫外線耐性の原因であることを見出した。 イネUVB超感受性突然変異体(uvs-Sa3)は、本年度新たに選抜された変異体であるが、本変異体は、UVBによって誘発されるDNA損傷を修復する暗修復機構(NER)に関わる遺伝子が、イオンビームによって機能不全を起こし、結果としてUVB感受性となっている、またUVB耐性イネ変異体であるuvt-Sa4は、CPD光回復酵素が野生株と比較して発現が高くなり、細胞内での光回復酵素活性が増加した結果として耐性を示している可能性を見出した(投稿準備中)。なお、他のUVB耐性イネ変異体(uvt-Sa3、uvt-Sa5)に関しては、現在マッピング解析を行っているが、本解析は、引き続き行う。
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Research Products
(6 results)