2005 Fiscal Year Annual Research Report
家族性乳癌の原因遺伝子BRCA2の相同DNA組換えにおける機能の解析
Project/Area Number |
17510042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山添 光芳 京都大学, 医学研究科, 助手 (00284745)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 放射線 / DNA修復 / 相同DNA組換え |
Research Abstract |
1.BRCA2と他の遺伝子の二重変異株の作製 本年度は、(1)XRCC3、(2)Rad52、(3)FANC-C遺伝子とBRCA2の二重変異株を作製した。BRCA2ナルのバックグラウンドでXRCC3遺伝子やRad52遺伝子を破壊しても、自然発生する染色体断裂は、それ以上増えることは無かった。一方FANC-C遺伝子を破壊すると、各遺伝子の単独破壊細胞より多くの染色体断裂が生じた。このことより、自然発生するDNA損傷に対しては、XRCC3、Rad52遺伝子はBRCA2と同じ経路で働くが、FANC-C遺伝子は別の経路で働いていることがわかった。またこれらの二重変異株のシスプラチンに対する感受性は、BRCA2遺伝子単独破壊株と一致し、シスプラチンによって誘導される染色体断裂の数も、BRCA2遺伝子単独破壊株と同じであった。つまり、DNAクロスリンカーによるDNA損傷の修復に関しては、これら3つの遺伝子はBRCA2遺伝子と共同して働いていると結論した。現在BRCA1遺伝子(実施計画ではBRCA1遺伝子のパートナーであるBARD1)とBRCA2遺伝子の二重変異株の作製に取り組んでいる。 2.表現型解析技術の開発 (I)DNA損傷後のBRCA2蛋白の細胞内局在 C端末に蛍光蛋白GFPや短いタグ(HA、FLAGなど)が付いたBRCA2蛋白を発現する細胞を作製した。この細胞に高エネルギーレーザーを照射して、高密度のDNA二本鎖切断を導入したが、BRCA2蛋白の損傷部位への集積は捉えることが出来なかった。 (II)BRCA2ナル細胞におけるRad51蛋白の動態 レーザー照射実験から、BRCA2蛋白が存在しない状態でも、効率は落ちるが、Rad51蛋白は損傷部位に集合できることが明らかになった。
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