2006 Fiscal Year Annual Research Report
家族性乳癌の原因遺伝子BRCA2の相同DNA組換えにおける機能の解析
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17510042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山添 光芳 京都大学, 医学研究科, 助手 (00284745)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 放射線 / DNA修復 / 相同DNA組換え |
Research Abstract |
1.BRCA2とBRCA1遺伝子の二重変異株の解析 本年度は、家族性乳癌原因遺伝子で相同組換えに関与する2つの遺伝子、BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子の相互作用を遺伝学的に解析した。まず制限酵素によって染色体DNAの特定箇所に二本鎖切断を起こし、二本鎖切断が修復される効率から、相同組換え能力を評価した。その結果、二重欠損株の方がBRCA1またはBRCA2単独欠損株より相同組換え能力が低下していたことから、BRCA1はBRCA2とは独立した経路で、相同組換えを促進しうることがわかった。またカンプトテシン(DNAトポイソメラーゼIを阻害してDNA複製をブロックする)に対する感受性は、BRCA2欠損細胞よりBRCA1欠損細胞の方が高く、シスプラチン(DNAを架橋してDNA複製をブロックする)や紫外線に対する感受性は、逆にBRCA2欠損細胞の方がBRCA1欠損細胞より高かった。以上の結果から、BRCA1とBRCA2はDNA損傷の種類によって、お互いに独立して働いていると結論した。 2.部位特異的なDNA二本鎖切断基質を用いたDNA修復過程の解析(クロマチン免疫沈降法) 染色体DNAを切断しない制限酵素I-SceIの認識部位を、卵白アルブミン遺伝子座に人工的に導入した細胞株で条件検討を行った。I-SceIを一過性発現させ、ゲノムDNAの一カ所に二本鎖DNA切断を導入すると、切断部位周辺のヒストンH2AXがリン酸化されている現場をとらえることができた。しかし相同組換えの初期段階で切断部位に集合するはずのRAD51蛋白は、検出することができなかった。これは前者が特異性の高いモノクローナル抗体を使用しているのに対して、後者は特異性に劣るポリクローナル抗体を使用しているためであると考えられた。今後、ニワトリRAD51蛋白に対する高力価のモノクローナル抗体の作製が必要であると考えられた。
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