2005 Fiscal Year Annual Research Report
エストロジェン補充療法による女性がん発症リスク上昇に対するDNA付加体の役割
Project/Area Number |
17510048
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
森 俊雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (10115280)
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Keywords | エストロジェン / 女性ホルモン / DNA付加体 / 乳がん / 卵巣がん / 子宮内膜がん / プレマリン / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
エストロジェン補充療法は、更年期女性に発症する更年期障害の軽減や防護を目的に利用されているが、乳がん、卵巣がんおよび子宮内膜がんの発症リスクを高める副作用も合わせ持つ。本実験では、エクイリン/エクイレニン型エストロジェン由来のDNA付加体形成が女性がん発症リスク上昇に関連するか明らかにするため、モノクローナル抗体を利用したDNA付加体高感度検出系の確立を目指した。まず、エストロジェン付加DNA・メチル化牛血清アルブミン結合物をマウスに免疫した後、摘出した脾臓細胞とミエローマ細胞を融合させ抗体産生ハイブリドーマを作製した。これらの培養上清についてエストロジェン付加DNAに対する特異的結合性を検討したところ、404個中1個に有望な結果が得られた。2度のクローニングの後、このモノクローナル抗体を40HEN-1と命名した。種々のエストロジェンのDNA付加体を含むオリゴヌクレオチドを用いた競合阻害実験の結果、40HEN-1のエピトープは4-OHEN-dCと4-OHEN-dAの共通部分で立体異性体Pk4であることが判明した。つまり、新規抗体は生体内で最も生成量が多いDNA付加体を認識する。エクイリン/エクイレニンDNA付加体の高感度検出系を目指し、40HEN-1を利用した高感度ELISA法を作製した。既知量のエクイリン/エクイレニン付加体を含むDNAで付加体を測定した結果、驚くべきことに、付加体量と付加体検出量は原点を通る正比例関係となった。つまり、この検量線と比較することで、実験材料中の付加体の絶対量を求めることが可能となる。実際、エストロジェン補充療法の代表的薬剤であるプレマリン(ヒト投与の100倍量)をマウスに1〜3ヶ月間経口投与した場合、子宮、卵巣、肝臓、脾臓、および腎臓のDNA中に10,000,000塩基当たり4個程度の付加体が誘発されることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)