2006 Fiscal Year Annual Research Report
線質を異にする放射線被ばくの細胞遺伝学的指標(フィンガープリント)探索の研究
Project/Area Number |
17510056
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
神田 玲子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター・規制科学総合研究グループ, チームリーダー (40250120)
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Keywords | 放射線 / 染色体 |
Research Abstract |
今年度はin vivo被ばく者の染色体異常分析結果を解析し、既存のパラメータよりもLET依存性が顕著なパラメータを抽出するなど、フィンガープリントの新規候補を探索した。 (1)放医研でX線とγ線の混合治療あるいは炭素線治療を受けた子宮がん患者及びJCO事故(中性子線とγ線の混合被ばく)の重度被ばく者の末梢血からリンパ球を分離培養し、放医研の常法に従いギムザ標本による染色体分析を行なった。その結果、環状断片頻度(Ra)と二動原体(Dic)の比(Ra/Dic ; RaD値)及び過剰断片(ExFrg)と二動原体の比(ExFrg/Dic ; EfD値)は、放射線治療患者群間で有意な差が見られた(γ-X線に比べ炭素線治療群でRaD値が低くEfD値が高い)。事故被ばく者のRaD値及びEfD値は事故後14ヶ月間ほぼ一定で、放射線治療患者群の各々の平均値の中間程度であった。 (2)健常人末梢血に^<60>Coγ線(1-3Gy)と10MeV中性子線(0.5-2Gy)照射を行い、同様の染色体分析を行った。その結果、(1)のin vivo被ばくサンプルと同様の結果が得られた。 RaD値とEfD値は、事故後1年以上変動がなく、1-3Gy(γ線相当)の線量域でLET依存性を示すことから、事故時の有用な線質指標(フィンガープリント)となる可能性がある。こうした高LET放射線照射による相対的な環状断片の減少/過剰断片の増加は、修復効率の低い複雑な染色体損傷が高LET放射線で高頻度に誘発されたためと考えられる。
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Research Products
(1 results)