2006 Fiscal Year Annual Research Report
電離放射線によるミトコンドリアゲノムDNA二重鎖切断損傷の修復機構に関する研究
Project/Area Number |
17510057
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
小池 学 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (70280740)
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Keywords | 放射線 / 遺伝子 / 蛋白質 / 細胞組織 / 酵素 |
Research Abstract |
ゲノムDNA中の変異が発癌や老化変性疾患の原因と考えられるが、各疾病の原因となる損傷ゲノムが核ゲノムなのかミトコンドリアゲノム(mtゲノム)なのかについては明らかになっていない。また、電離放射線によるmtゲノムDNA二重鎖切断損傷を修復する機構として、核内に存在する2つの修復機構(非相同末端結合機構と相同組換え機構)がミトコンドリアに存在するか否かも明らかにされていない。ところで、核ゲノムの非相同末端結合機構で働く蛋白質は、Ku70等の6種が知られている。生化学的な実験からミトコンドリアにこれらの蛋白質の一部が局在することが示唆されている。一方、相同組換え機構で働く蛋白質としては、ATM, Rad50, Mre11, H2AX等が知られている。本年度は、昨年度までに構築した生細胞中で観察可能な自家蛍光蛋白質融合蛋白質として発現する様に蛍光蛋白質遺伝子の下流にDNA二重鎖端に結合するRad52等を融合した遺伝子発現ベクターから発現する融合蛋白質の細胞内の局在を調べるために、ヒト培養細胞に発現ベクターを導入して細胞内の局在の解析を行った。その結果、調べた4種類の自家蛍光蛋白質融合蛋白質がヒト培養細胞の核内に局在することを確認できた。他方、生きたミトコンドリアを染色し共局在の有無を解析した結果、用いた検出系ではミトコンドリアへの局在は何れも観察できなかった。加えてDNA損傷誘導時の融合蛋白質の局在変化について観察した結果、核内のDNA損傷誘導時に損傷部位への局在変化は検出されたが、同様の損傷をミトコンドリアに与えた場合には確認できなかった。
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