2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳発達への環境化学物質の影響を調べるinvitroスクリーニング系の開発
Project/Area Number |
17510059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
黒田 純子 (木村 純子) (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (20142151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 功 (財)東京都医学研究機構, 研究員 (30124415)
黒田 洋一郎 (財)東京都医学研究機構, 研究員 (30073084)
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Keywords | 環境 / 脳・神経 / 発達・分化 / 環境化学物質 / PCB / 神経毒性 |
Research Abstract |
今年度は、マウス及びラットの小脳、大脳皮質、海馬など様々な領域の無血清培養改良系を確立し、それらを用いて水酸化PCBやその他の環境化学物質数種について、脳発達への影響を調べ、以下の結果を得た。 1.脳脊髄液中に検出される水酸化PCBの神経細胞に対する影響 これまでに水酸化PCB数種が甲状腺ホルモン依存性のプルキンエ細胞樹状突起伸展を阻害することを見いだした。今年度は脳脊髄液中に高濃度で検出される水酸化PCB異性体187を中心に調べたところ、50-500pM濃度で小脳プルキンエ細胞樹状突起を異常に伸展し、甲状腺ホルモンアゴニスト様作用を示した。さらに5nMではプルキンエ細胞の生残数を有意に上昇させ、500nM以上では、神経細胞のみならずグリア系細胞にアポトーシスを誘導するなど、濃度によって多様な作用を示した。この水酸化PCB異性体187は、日本人の脳内でも最も高濃度(〜60pM)で検出されることが確認されており、この濃度で脳発達に攪乱作用などの影響を及ぼす可能性を、小脳だけでなく海馬や大脳皮質培養を用いて、さらに検討ならびに解析中である。 2.その他の環境化学物質のスクリーニング 殺菌作用と汚れ防止作用のあるトリブチルスズや、殺虫剤のグルホシネート、グリホサートなどは、脳への影響が懸念されており、これらの物質を種々の培養系に添加し、その影響を調査中である。トリブチルスズは、pMオーダーでプルキンエ細胞の樹状突起伸展を阻害し、さらに生残数も低下させた。グルホシネートやグリホサートは、重要な神経伝達物質であるグルタミン酸やグリシンに類似した化学構造を持っており、大脳皮質培養系に添加したところ、神経細胞の細胞内カルシウム濃度の上昇が観察され、現在さらに神経系に影響を及ぼす影響を調べている。
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Research Products
(4 results)