2005 Fiscal Year Annual Research Report
収束電子回折法によるナノスケール点欠陥解析法の開発と点欠陥誘起物性への応用
Project/Area Number |
17510083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津田 健治 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (00241274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺内 正己 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30192652)
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Keywords | 電子顕微鏡 / ナノ材料 / 格子欠陥 / 物性実験 |
Research Abstract |
本研究では,収束電子回折法を用いて,点欠陥の原子構造とその分布および周辺の歪みをナノスケールの空間分解能で定量的に解析する方法の開発を目指している.本年度は,点欠陥を含む試料として不純物ドープSiを用いた.この系では収束電子回折図形のロッキングカーブで異常な強度が見出されている.このロッキングカーブの異常と不純物ドープとの関係を明らかにするため,以下の実験を行った. ・種々の電子顕微鏡用薄片試料作製法について検討し,ロッキングカーブへの影響のない試料作製法を確立した. ・イオン打ち込み法により作成したAsおよびB原子ドープSi試料について,不純物原子濃度とロッキングカーブに現れる異常な強度の相関を明らかにした. ・Si原子をイオン打ち込みした不純物のない試料について同様の実験を行い,イオン打ち込み時に生じる格子間原子や微小なSiクラスターなどが作る格子乱れのロッキングカーブ異常への寄与を見出した. また,統計的動力学回折理論,multislice法,Howie-Whelan法の3種の計算プログラムを開発し,ロッキングカーブのシミュレーションを行って実験と比較した.その結果,不純物やイオン打ち込みで発生する格子間原子・微小クラスターなどによる局所歪みと,それら欠陥により発生するマクロな歪みの両方が,ロッキングカーブの異常な強度の原因であることを見出した. これらにより,収束電子回折図形のロッキングカーブを定量的に解析することで,点欠陥に起因する微小歪みを検出できることを示した.
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Research Products
(1 results)