2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン選別XAFS-磁性ナノ粒子の新しい状態分析法-
Project/Area Number |
17510094
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
林 久史 日本女子大学, 理学部, 助教授 (60250833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
バラチャンドラン ジャヤデワン 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (80261593)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (10311549)
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Keywords | スピン選別XAFS / 共鳴X線非弾性散乱 / 高感度・X線分光器 / 蛍光X線サテライト / 磁性ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究は、磁性をもったナノサイズの粒子(磁性ナノ粒子)の磁気・電子構造の評価法として「スピン選別XAFS」を確立することを目指すものである。スピン選別XAFS分光では、強度の微弱な遷移金属のKβスペクトルを高感度かつ高分解能で測定する必要がある。そのためには、放射光の利用と、Kβ発光を高感度かつ高分解能で測定できる分光器の開発が欠かせない。ところが残念なことに、昨年度の研究で、放射光による試料の放射線損傷が無視できぬこと、特にナノ粒子においてその影響が顕著であることが判明した。これを受けて本年度は、放射線が影響しない時間内で有意なスペクトルが測定できるよう、分光器を全面的に改造した(論文2)。この分光器は、球面湾曲結晶を共通の方位角(135°)上に多数配置し、高感度で集光分光を行うものである。全体の形状が孔雀を連想させたので、「孔雀型」分光器と命名した。 この分光器を用いて、まずZnO上に分散したCuOナノ粒子の寿命幅フリー・高分解能XAFSを試験的に測定した。結果、「孔雀型」分光器を用いることで、Cu濃度にして1%という低濃度試料についても、寿命幅フリーXAFSを測定できた(論文2)。さらに、基本的な超伝導体であるLa2_<2-x>Sr_xCuO_4について類似の測定を行い、プリエッジと呼ばれる部分が配位状態に敏感であることを見いだした(論文1)。 高感度化について十分な感触が得られたので、酸化鉄や鉄フェライトのスピン選別XAFSを孔雀型分光器で測定しなおした。結果、試料損傷の影響のほとんどないデータが得られた。現在、論文にまとめている最中である。 以上と平行して、スピン選別XAFSについての理解を深めるため、多重散乱理論によるスペクトル解析にも着手した(論文3)。 さらに、上記の成果を含む、X線発光分光に関するレビューを、教科書「内殻分光」の中で分担執筆した(図書1)。
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Research Products
(4 results)