2005 Fiscal Year Annual Research Report
ITシステム化による看護労働の変容と医療事故防止策の有効性に関する研究
Project/Area Number |
17510142
|
Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
内藤 堅志 (財)労働科学研究所, 研究部, 研究員 (70390771)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 直樹 (財)労働科学研究所, 研究主幹(所長) (60165660)
飯田 裕康 (財)労働科学研究所, 研究部, 研究主幹 (70072650)
阿部 眞雄 (財)労働科学研究所, 研究部, 特別研究員 (40266359)
|
Keywords | 情報システム / 看護労働 / コミュニケーション |
Research Abstract |
対象病院がITシステム導入前に病棟にて業務観察を行った。その結果、看護記録(2号用紙)に記されるべき実施印の欠落・連続押印、処置を実施した時刻と記録上の実施時刻とが異なる記録等が見られた。また処置後にナースステーションで行われる処置実施後の記録が行われず、連続して他の受け持ち患者の処置をする場面も見られたことから、これらの原因には、業務の煩雑さが関与していると推測された。さらに、医師の注射の指示変更が口頭により病棟の看護長に伝えられ、看護長も指示受け内容の伝達をメモにて注射伝票に添付したために、看護師が変更以前の指示に従い注射を準備したインシデントも観察された。このことから、医師.看護師間、看護師.看護師間のコミュニュケーション欠如が関与していることも推測された。 次に、現在電子カルテを導入している病院にヒアリング調査を行った。その結果、電子カルテ導入後に、医師の指示出し時刻が遅延していること、いつ出るかわからない医師の指示出しに常に注意をしていなければいけないこと、などの負担が聴取された。また、注射・内服薬の指示に関して、医師の時間外の修正指示が画面上ではわからない、担当患者の内服薬の一覧が出力されないために、注射箋(紙)、処方箋(紙)などを確認する負担が、電子カルテの機能・表示の制限により生じていることも抽出された。 現在、調査対象病院では、ITシステム導入が遅れている状況である。しかし10月から2月にかけて本調査を実施し、医療事故防止・安全確保の面でITシステム化がどのような影響を及ぼすかを検討する計画である。
|