2005 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待を防止する包括的社会制度の設計-社会の安全・安心のための政策提言-
Project/Area Number |
17510143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Science and Technology Policy |
Principal Investigator |
牧山 康志 文部科学省科学技術政策研究所, 第2調査研究グループ, 客員研究官 (50356284)
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Keywords | 政策研究 / 医療・福祉 / ガバナンス / 安全・安心 / 児童虐待 |
Research Abstract |
本研究は、わが国における児童虐待防止に必要な包括的な社会制度の原型(マスター・プラン)を提示することを目的とし、特に、社会的ガバナンス及び、関係者相互の活動を連携・調整する仲介役を果たす機関の機能に着目した検討を進めている。 4年計画の初年度に当たる平成17年度では、文献的調査による現状分析を行い、当該政策の検討上重要な以下の事項を見出した。これらを踏まえて次年度には、現場の状況把握を中心に研究を進める。 (1)子どもが社会の中でどのように取り扱われるかは、社会状況、文化・歴史的経緯、現行の社会制度に大きく依存し、それらは、相互に強固な連関がある。(子どもと社会の関係性) (2)親と子の関係は、個別性と同時に、生物的・精神的に働く力や社会的背景に根ざした関係性を考慮すべきである。(親子における生物的・精神的・社会的力動) (3)発達途上にある子どもの段階は、心身や社会との関わりの面で脆弱性を有しており、子どもの法的証言に係る制度や、他人を含む大人と子どもとの関わりのあり方が、虐待を一掃する社会要因として重要である。(親以外の大人と子どもとの関わり) (4)子どもの福祉の実現には、社会の多様な機関の関与があり、それゆえ、子どもの福祉の実現を図る制度的基盤に、専らにその課題に取組む特定の主導的機関の存在が有望である。当該機関は、社会的信頼を得て包括的に事象を扱う権限と能力とを備えることが想定される。また、同機関が、社会制度におけるフィードバック機構の中核となり得る。(法律的に規定される機関・組織等の責任と権限及び実行能力) (5)科学技術は常に進展を遂げ、それに伴い社会は常に変貌し、政策及び社会制度は、それに適応する必要がある。そのような適応性の高い政策の実現のためには、ダイナミズムを確保する社会制度設計が求められる。(科学技術の進展と社会構造の変貌に対応する政策実現のダイナミズムに係る根源的な課題)
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